平成天皇、令和天皇の名前はタイ人も知っている~日本の皇室に関する6つの基礎知識

hino

このたび、令和天皇の即位のニュースは、
タイでも大々的に報じられました。

タイでは基本的に、日本の皇室を最大限に重んじて、報道をしてくれます。

日本人がタイ人から学ぶべきものは、
「家族のつながり」や「大らかな精神」など、いくつか挙げられますが、

そのうちの1つに、
「皇室への敬意」があります。

今回は、このポイントについて、少しお話しをしていきます。


タイ人は王室が大好き

ご存知の通り、タイ人は、
「タイの王室」が大好きです。

どこの家へ行っても、
9世や5世の国王の写真が
額に入れて飾ってありますし、

年末に銀行で配られるカレンダーにも、
国王の写真の大判が、使用されています。


また、映画館では王室を賛美する歌が流れたり、

毎日2回、国歌を斉唱したり…
などなど。



「タイ人が、いかに自国の王室を敬愛しているか」

という例は、
挙げればキリがありません。


そして私は、タイ人のこうした「自国の王室への敬意」は、

日本人が、タイ人からもっと学ぶべきポイントの1つだと思っています。


タイ人は日本の皇室にも敬意を払っている

タイ人は、自国の王室に敬意を払っているのと同じように、

他国の王室に対しても、最大限の敬意を払っています。

そのため、

「明仁さまがタイに来られた」
「皇室の人がタイに来られた」

というニュースは、

一般のタイ人にとっては、
トップニュースとして認識されています。

なぜなら、

日本の敬愛すべきロイヤルファミリーのニュースだからです。



一方で、多くの日本人は、

「皇室の誰が、いつ、タイへ行ったか」

という情報について、とんと無関心です。

こうなると、
「自国の王室への敬意」に関して、

日本人とタイ人との間で、
「温度差」が生じることになります。



タイ人にしてみれば、

「えっ、日本人も当然、皇室に敬意を払っているものだと思っていたのに……

 君は、自国の皇室に興味がないのかい?」

ってなもんです。


そのため、もしもあなたが、
ある程度タイ語が上達して、
タイ人と深い話ができるようになれば、

当然、「日本の皇室」のことも話題になります。



そして、もしもこのとき、

あなたがあまりにも皇室に対して無関心だと、相手のタイ人は、

「なぜ、この日本人は、自分の国の皇室のことについて、何も知らないんだろう……」

と、ガク然としてしまいます。



こうした事情から、タイ人との会話においては、

日本の皇室についての知識を、
持っておくに越したことはありません。

最低限知っておくべき項目としては、以下の6点です。


1.万世一系である

まず、日本は、歴史の始まりから現在まで、

「たった1つの天皇家」
という家系によって、存続されています。

こうした「ずっと1つの家系」ということを指して、

万世一系(ばんせいいっけい)
と言います。

これは、世界で唯一です。



普通はどこの国も、色々な王朝が、
入れ替わり続けているからです。


たとえば、

タイの昔の王朝と言えば、
スコータイ王朝が有名ですが、

スコータイは、
200年ほどで滅んでいます。

その後、いくつかの王朝が入れ替わり、

現在のラタナコーシン朝が始まったのは、1782年。

まだ400年ほどです。


そのため、ある程度日本史に詳しいタイ人であれば、

「万世一系(ばんせいいっけい)は、
とてつもなくすごいこと」

という感覚を、ちゃんと持ってくれています。


2.世界最長の王室である

また、前項の万世一系とも関連して…

日本では、現在の皇室が存続している期間は、
2600年とも3000年とも言われますが、

少なく見ても、2000年以上は確実にあります。

もうこの時点で、世界最長です。



いっぽう、タイの歴史は、
スコータイ王朝からが始まりで、
約800年前です。

年数は日本の半分以下で、なおかつ、
スコータイ王朝の家系は、
すでに断絶していますから、

「日本の天皇家は、現存する世界最長の王家」

という点も、タイ人が驚愕しているポイントの1つです。


皇紀2600年

また、戦時中、日本では、
「皇紀二千六百年祭」
という祭典が行なわれました。

これはつまり、

「初代の神武天皇が日本の国を建国してから、2,600年目」

という意味のお祭りです。

もちろん、2600年前の確固たる資料が何か残っているわけではありませんが、少なくとも、

「そういうものとして伝わっている」

というだけでも、すごいことです。

タイは現在、仏暦で二千五百数十年ですが、
単純に、それよりも長い、ということです。


3.令和天皇は第126代目

2,017年、タイの王位がラマ9世からラマ10世に継承されました。

タイの人は、王様のことを「第何代目」という言い方をして、

タイ語の日常会話では、

9代目(ロォー・ガーオ)、
10代目(ロォー・スィップ)

と言います。


また、「初代ラマ1世は何をした」「ラマ5世は何をした」など、

「何代目の功績」という知識を、
タイ人はよく知っています。


しかし、この「何代目」という点についても、
日本の人は、ほとんど関心がありません。

あなたは、令和の天皇が第何代目か、知っていますか?



日本の天皇は、とっくに「百代目」を超えています。

昭和天皇は第124代目、
平成天皇は第125代目、

現在の令和天皇は、
第126代目です。

タイ語で言うと、

รุ่นที่126(126代目)
「ルゥンティー・ローイ・イースィップ・ホック」

と、なります。


これを言うと、大抵のタイ人は「マジで?」という顔をして、驚きます。

国王が126代も続いて、126代ぶんの系図が、史料として残っているような国は、他にないからです。


4.令和天皇の名前は、
「徳仁(なるひと)さま」

また、タイ人は、
国王の「名前」もよく覚えています。

第9代は、「プゥーミポン・アドゥンヤデート国王」

第10代は、「ワチラーロンコーン国王」です。


特に、第9代の本名は、「世界一名前の長い王様」としても知られていて、

「9世国王の御名前を覚えるための歌」
というものまであります。

タイ人は、こうした歌を口ずさむことで、
9世国王の名前を、しっかり覚えることができます。



しかし、

この点においても、
日本人は、タイ人に大きく引けをとっています。

昭和天皇の「裕仁(ひろひと)」という名前は、
歴史の教科書にも出てきますから、知っている人も多いかもしれませんが、

「平成天皇の名前」
「令和天皇の名前」となると、

日本人でも、知らない人が多いです。

平成天皇の名前は、
「明仁(あきひと)さま」

令和天皇の名前は、
「徳仁(なるひと)さま」

と言います。



タイのニュース番組では、

「アキヒトさまがタイに来られた」

「ナルヒトさまが、令和の新しい天皇として、ご即位された」

という風に報道します。


そのため、毎日のニュースを見ているタイ人であれば、当然、

「令和の天皇はナルヒトという名前である」

ということを、情報として知っています。



なので、日本人が

「天皇のお名前を知らない」

なんて言ってしまうと、タイ人は、

「ええっ??なんで??」
と言って、びっくりするわけです。



「9世国王の世界一長いお名前」を、タイ人は覚えているのに、

「たった4文字の天皇のお名前」を、日本人は知らないなんて……

ハッキリ言って、
恥ずかしすぎると思いませんか??


補足:「諡(おくりな)」について

用語について、1点、補足があります。

日本には、

天皇陛下、上皇陛下がご存命中のあいだは、
「○○天皇」という名称では呼んではいけない、

という決まりがあります。

「○○天皇」という言い方は、
じつは、その天皇の死後につける名前で、

これを、諡号(しごう)または諡(おくりな)と言います。


なので、例えば、
平成の時代であれば、

「昭和天皇」という言い方はしても良いが、
「平成天皇」と言う呼び方をしてはいけない、

ということです。


そのため、陛下がご存命中の間は、
本当は、「○○天皇」という呼び方を避け、

「天皇陛下」「上皇陛下」
と、お呼びしなくてはなりません。


ただし、今回の記事では、
一般の読者にも読みやすいように、

あえて、「平成天皇」「令和天皇」
という言い方をしている、というわけです。


5.タイ語の「ジャカパット」は日本の天皇だけ

タイ語で、「จักรพรรดิ ジャカパット」という言葉がありますが、

意味は、「天皇」です。


そして、なんと、

現在、タイでこの「ジャカパット」という言葉が使われるのは、「日本の天皇だけ」なんです。



つまり、

「〇〇国のジャカパット」というような、
一般名詞としての用法はなく、

「ジャカパット」と言えば、
それは即、日本の天皇を指す、

ということです。



そのため、タイ語の「ジャカパット(天皇)」は、

日本人として、必ず知っておけなければならないタイ語単語の1つなんです。


6.元号制の国は日本だけ

また、日本では、

「平成〇〇年」
「令和〇〇年」
という和暦が使用されていますが、

こうした「平成」や「令和」などの名称のことを、

「元号(げんごう)」
といいます。


元号の役割は、

「現在の天皇が即位してから何年目」
ということが、一目で分かるようにする、

ということなのですが、

この「元号制」を、現代でも使用しているのは、日本だけです。

いっぽう、タイ語には、元号が無いため、

「9世国王が即位して何年」
という言い方がありません。

なので、「9世国王の在位は何年続いたか」
という情報が、パッと出てこないんです。


この日本の元号については、

「ややこしいから、やめたほうがいい」
なんていう意見を言う人もいますよね。


でも、

「やめるのは簡単だが、新たに始めるのは無理」です。


また、こうした元号があることによって、

「平成は何年続いた」
「令和天皇が即位してから今年で何年目」

ということがすぐにわかりますし、

何より、国として、皇室を尊重していることの表れでもあります。



また、元号を付けておくことで、

「平成の頃は…」
「令和になってからは…」

というような、1つ1つの時代区分として考えることができます。



やはり、こういった伝統は、
ないよりは、あったほうが良いものです。


…以上の6点が、日本について押さえておくべき基礎知識です。


日本のマスコミは教えない

今回ご紹介している、
「自国の国体に関する基礎知識」。

これは、もしもタイであれば、

「国民として当然知っておくべきこと」
ばかりです。

なのに、日本では、学校で教えるどころか、
世間で話題に上ることすらありません。



現に、日本の学校で使用されている日本史の教科書には、

「初代神武天皇」の名前や、
「令和で126代目」という項目を、

記載していないものもあります。


「自分の国の、現王朝の初代創始者の名前を知らない」なんて、海外では考えられません。


王室というのは、国体の象徴、
その国民にとっての「一体性」の象徴ですから、

王室が大切にされればされるほど、
国民としての一体感は強固になっていきます。

タイは、まさにそういった王室の元の一体感を、非常に重視しています。


逆に、日本では、
「自国の王室を知らない人が多い」という、

おかしな状態になっているので、

いつまでたっても、
日本国民としての一体感が育っていきません。


実際のところ、、

あなたの周囲で、「日本人としての誇りを持っています!」と宣言している人、というのは、おそらく少数派ではないでしょうか。

なにせ、現代の日本は、

「愛国心があります」などと口に出して言おうものなら、奇異な目で見られてしまうような社会です。


でもそれって、世界から見たら、
逆に、すごく異常なことなんです。



タイやポーランドなど、
海外の多くの国では、
愛国心は「あって当然」のものです。

「自国の誇りを持っていない人」

なんていう人は、
海外ではむしろ少数派だと分かります。


しかし、

日本にいると、その事実にすら、
なかなか気付くことができません。

こうしたことに気がつくことができるのも、
海外生活の大きなメリットの1つだと言えます。


まとめ

タイでは、全国民が、王室を敬愛しています。

そのため、ある程度タイ人と込み入った話ができるようになると、タイ人は、

「なぜ日本人は、自分の国の皇室に敬意を払っていないのか」

ということに対して、非常に怪訝な顔をします。

逆に、タイ人と話す際に、皇室に関する最低限の知識を持って話せば…

「タイ人と同じように、自国の王室を尊重し、敬愛している人」

として、あなたを見てくれます。


日本の国について、最低限、
知っておきたいポイントは…

1.
日本の皇室は万世一系

2.
世界最長の王室

3.
令和天皇は126代目の天皇
(初代の名前は神武天皇)

4.
平成天皇の名前は明仁さま、
令和天皇の名前は徳仁さま

※ただし、「○○天皇」という言い方は諡(おくりな)であるため、通常は、「上皇陛下・天皇陛下」とお呼びする。

5.タイ語で「ジャカパット」を使うのは日本の天皇だけ

6.元号制は日本だけ

…以上の6点です。


いずれの項目も、

「さすが日本!」

「やっぱり日本すごい!」

と、タイ人が驚嘆することばかりです。



タイ人との会話では、
「日本の皇室の話」は、
とても喜ばれる話題
なのです。


海外の人に日本を紹介するにあたり、
ぜひあなたも、日本の皇室に関心を持ってみましょう!