タイ人との会話で日本語をタイ語に訳すときのコツ①二重否定文「~でないものはない」

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タイ人と話す際、日本語の文章をそのままタイ語に訳しても、通じないことがよくあります。

そこで、今回から数回に分けて、

日本語からタイ語の文章に訳す時に知っておくべきポイントについて、いくつかご紹介していきます。

なぜ通じないのか

タイ語の日常語彙を一通り覚えて、日本語の文章をタイ語に訳せるようになった人が、一番初めにぶち当たるのが…

「訳しても通じない」
「正しいタイ語のはずなのに、理解してもらえない」

という壁です。

なぜ、そのようなことが起こるでしょうのか。

その理由は、

・日本人とタイ人とでは、そもそも物の見方考え方が違う
・タイ語特有の言い回しがある

この2点です。

文法的に正しくても通じない

日本語の文章を、いくら完璧に、タイ語に訳すことができたとしても…

「そもそもタイ人は、そんな言い方をしない」

ということがよくあります。

そのため、

「文法も、語彙も、正しいタイ語を話しているはずなのに、理解してもらえない」

という事態が起きてしまうわけです。

タイ人が理解しやすい言い回しを知る

前置きが長くなりましたが、以上を踏まえたうえで、

タイ人に理解してもらえるタイ語を話すためには…

「タイ語では、どういう言い回しが好まれるのか」

ということを、場面ごとに、知っておく必要があります。

その例の1つが、今回表題に掲げた、「二重否定」の文章です。

二重否定とは?

二重否定とは、

「~でないものはない」

というような言い回しです。

日本語では、わりとよく使うのですが、タイ人は普段、こうした「二重否定」の文章は、あまり使いません。

そのため、

日本人が、「ないものはない」なんていう二重否定の文章を思いついたときに、これをそのままタイ語にしてしまうと…

「持って回った言い回しすぎて、何を言いたいのかよくわからない」

と、相手のタイ人は感じます。

一度日本語を「意訳」する

たとえば、次のような文章を見ていきましょう。

「これを知らないなんていう人は、だれもいないぞ」

なんとも、回りくどいフレーズです。(笑)

これを仮にタイ語に直訳したところで、

回りくどすぎて、聞いたタイ人はおそらく「ハァ?」という顔をします。

そのため、こういうときは…

まず、シンプルな形に「意訳」する必要があります。

「これを知らない人はだれもいない」

「誰もが知ってる」
ใครๆก็รู้カイカイゴォルゥー

という風に、二重否定ではない文章に、形を変えてしまうわけです。

これなら、かなりシンプルですよね。

タイ語を話す時も楽ですし、相手のタイ人も、すぐに理解してくれます。

まず日本語をシンプルな形にしよう

では、もう一つ、例文を見てみましょう。

「正しいやり方をしないで、うまくいった人はだれもいないぞ」

これまた、日本人の会社員の人が、職場のタイ人に毎日言ってそうなフレーズですよね。

しかし、この言い回しも、タイ語に直訳してみたところで、おそらくタイ人には通じません。

タイ語ではそもそも、こういう言い方をしないからです。

では、どうするのか。

先ほどと同様、二重否定を、シンプルな形に戻します。

「正しいやり方をしないで、うまくいった人はだれもいない」

「間違ったことをしていても、うまくいかない」

これなら、かなりシンプルですよね。

タイ人も、聞いた瞬間に「フムフム」と意味を理解してくれます。

ポジティブな形にする

しかし、タイ語の日常会話では、これでもまだ不十分です。

さらに「タイ人向け」に意訳すると、次のようになります。


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「正しい生き方をしないで、うまくいった人はだれもいない」

「間違ったことをしていても、うまくいかない」

「うまくいかせたいなら、正しいやり方を行なうべきだ」
ต้องใช้วิธีถูกต้อง
トォン・チャイ・ウィティー・トゥークトォン

文の形は大幅に変わってしまいましたが、タイ人が最も理解しやすいのは、この最後のタイプの文章です。

両者の違いが、お分かりでしょうか。

「間違ったことをしていても、うまくいかない」

というフレーズは、確かに、話者の真意はちゃんと表現できているのですが、聞いているタイ人にしてみれば、

「いやまぁ…俺が間違ったことをしていたのはもう分かったからさぁ…
どうすればいいのか、結論を言ってくれよ」

ってなもんです。

そのため、タイ人にとっては、

「間違ったことをしていても、うまくいかないぞ」

という文章ですら、「回りくどい」と感じます。

結論を明確にしてあげる

この場合、相手のタイ人に伝えたいのは、

「うまくいかせるためには、どうすればよいのか」

という点ですよね。

ですので、「うまく活かせるためには…」という風に、文章を始めると、文章のテーマがはっきりします。

そのため、聞いてるタイ人も、理解しやすくなる、というわけです。

日本人は説教したがる?

今回のテーマで、いくつか例文を見てきましたが、これらに共通しているのは…

日本人は、「いかに良くないか」という、ネガティブな内容を、コンコンと語り続けようとする、

という特徴があります。

いわゆる、「粘着的なお説教」です。

先ほどご紹介した、

「正しくないやり方では成功しない」

という文章には、「いかに相手が正しくないことをしているか」を、相手に伝えよう、という意図があります。

つまり、相手に間違いを気づかせる、というやつです。

日本では一般的かもしれませんが、一般のタイ人は、こういう言い回しを嫌います。

「私が正しくないのは、もう十分わかったわよ。
で、どうしてほしいの?」

ってなもんです。

まとめ

日本人がよく使う二重否定文には、このように、「ネガティブさを強調する」という側面があります。

「正しくないやり方で成功した人はいない」

「こんな簡単なことが分からない人はいない」

「できないはずがない」

…などなどです。

見るからにややこしくて、まるで大学入試の英作文の問題に出てきそうな文章ですよね。

しかし、これらの表現は…

・そもそもタイ人はそういう言い方をしない

・訳すのも大変で、伝えるのも大変

・相手のタイ人は、「責められた」と感じて反発を覚える

…など、数々のデメリットがあります。

そのため、タイ語を話すときは、

●元の文章を、できるだけシンプルな日本語に直してから、タイ語に翻訳する」

●相手にしてほしいことを、できるだけポジティブな言葉で伝える」

という、脳内での作業が、必要になるわけです。

「正しくないやり方で成功した人はいない」
⇒成功したいなら、正しいことをしなさい

「こんな簡単なことが分からない人はいない」
⇒簡単だから誰でも分かる

「できないはずがない」
⇒必ずできる

…こうすれば、文章が簡潔になりますので、訳しやすく、伝えやすくなります。

「これをきちんとやらないと、君の将来はない」

なんて、わざわざ二重否定文にして、クドクドとタイ語を話すぐらいなら…

一言、「やれ」とだけ言えば、それで十分、ってことです。


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