「タイ人は大らかな性格で、何でもマイペンライと言ってくれるので、融通が利く」
という声がある一方で、
「タイ人は全く融通がきかない」
という声もあります。
一見すると正反対なこの2つは、いずれも「タイあるある」です。
タイ人は融通が利かない?
タイ人の庶民に共通する性格として…
「融通が利く時は、本当に融通が利くのに、効かない時は、全然融通が利かない」
という、非常に極端なところがあります。
そしてこれは、日本人の言う「融通」とは、ちょっと違います。
今回は、「タイ人独特の融通の利かなさ」について、お話していこうと思います。
追加料金がかかるケース
今回、私がこの記事を書こうと思ったのは、タイ在住のフォロワーさんが、次のようなエピソードを紹介していたからです。
いわく…
なので、変更するのをやめた。
でも、従業員はコーラを出してきて、その分の追加の料金をとられた」
というエピソードです。
おそらく、タイ生活をある程度知っている人であれば、
「あー、あるある」
と、共感してもらえるのではないでしょうか。
日本人は事前に説明してくれる
日本の場合、例えば、
「セットのドリンクを、コーンポタージュに変更できますか?」
と店員さんに聞いたら、店員さんは、
というような説明をしてくれますよね。
その上で、客は、
「あ、じゃあください」とか、
「じゃあ、やめときます」
のような判断が、できるわけです。
タイ人はあまり説明してくれない
しかし、タイの場合は違います。
「もしもドリンクを変更したら、料金は同じではない」
ということを、店員さんが伝えてくれないことがよくあります。
すると、お会計の時に、
「あれ? 値段上がってんじゃん」
ということになり、ちょっと損をしたような気持ちになってしまうわけです。
「料金が同じじゃないなら、はじめに言ってよ!!」
って感じですよね。
どこに食い違いがあったのか
これはつまり、タイ人は、
「でも、料金が変わるなら、変更しなくていい」
という発想を、理解してくれないことが多い、ということなんです。
私の体験談
これと類似のエピソードは、それこそ、掃いて捨てるほどあります。
私の体験談でいうと…
私は以前、タイ人の友人の家を訪ねたときに、「手作りのスパゲティ」を振舞ってもらったことがありました。
私が食べ終わると、友人は、「アオ・イーク・マイ?(おかわり要る?)」と聞いてくれました。
そこで私は、「せっかく作ってくれたのだから、余らせるのも申し訳ない」と思い…
「あ、じゃあ、まだあるなら、もうちょっとください」
と、答えました。
なぜ時間がかかったのか
しかし、10分、20分待っても、なかなか、おかわりのスパゲティは、やってきません。
「どうしたんだろう」と思い、台所を見てみると…
なんとその友人は、スパゲッティの乾麺を、お鍋で「ゆがいて」いたのです。
作り置きがなかったのなら、わざわざ作ってくれなくてもよかったのに…」
と、言っても、後の祭り。
結局その友人は、スパゲッティーを作り直し、私は特にお腹も空いていなかったのに、もう1皿食べる羽目になった…
というエピソードです。
タイ人は2択
これもつまり、日本人である私は、
「作り置きがあるなら、残すのはもったいないから、もらう」
「でも、作り置きがないなら、わざわざ作ってくれなくてもいい」
と、考えていました。
しかし、タイ人の多くは、こうした思考をなかなか理解してくれないので、
「食べるか、食べないか」
という2択になってしまう…ということです。
IFの希望とは?
なので、冒頭でお話ししたように、こういうタイ人の性格は、「融通が利かない」とは、ちょっと違いますよね。
でも、今回ご紹介しているような、一連のシチュエーションを、ズバリ一言で言い表す単語がありません。
そこで私は、こうしたシチュエーションに、名前を付けてみました。
私はこれを、「IFの希望」と呼んでいます。
IF、つまり、「もしも~なら」ということです。
条件付きで希望する
「IFの希望」とは、
「もしも〇〇なら、希望する」
「でも、もしも〇〇でないなら、希望しない」
という、条件付きの希望のことです。
例えば…
・ファーストフード店で、
「セット価格でOKなら、ドリンクをコーンポタージュに変えたいです。でも、できないなら、コーラでいいです」
・あるいは、ラーメン屋さんで、
「ネギ多め、スープ多め、あ、でも、スープ多めで追加料金かかるなら、スープ多めじゃなくていいです」
・あるいは、友人の家で、
「お茶かコーヒー?じゃあ、お茶でいいです。あ、でも、熱湯を沸かしていないなら、わざわざ沸かさなくていいから、お水でいいです」
…みたいな。
日本人とタイ人の発想の違い
日本人同士のやり取りでは、こういう「IFの希望」を、結構頻繁にするのですが、
一方で、タイ人はあまり、こういう希望の仕方をしません。
タイ人は、「希望するのか、希望しないのか」という、非常に両極端な考え方をします。
そこには、「IF」はありません。
なので、こうした「IFの希望」を理解してくれないタイ人に、「IFの希望」を話してしまうと、話がややこしくなってしまうわけです。
ケチであることを恐れるタイ人
また、タイには、「ケチであってはいけない」という文化がありますから、
「有償なら要らない」という発想を、ケチ臭いと考えます。
こうした、ケチを否定する文化と、タイ人独特の融通の利かなさ、そして、気の回らなさなどが、互いにドッキングして、
今回ご紹介しているような、「IFの希望が通じない」という現状になるのかな?と思います。
対処法はあるのか
タイ人とのこうした食い違いを避けるには…
タイ人と話すときは、「希望は最後まで言わない」という方法が有効です。
タイ人の多くは、こちらが希望を言うと、その希望を「叶えよう」としてくれるからです。
話の内容をシンプルにする
つまり、ファーストフード店の例であれば、店員さんに質問するときは、
「もしも仮に、ドリンクをコーンポタージュに変更したら、セットの値段は同じなの?」
という「質問だけ」にしておくのが良いでしょう。
そこには、こちら側の「希望の言葉」はありませんから、
タイ人の店員さんが「勝手に」コーンポタージュに変更するようなことはしないはずです。
そこで、もしも店員さんに、「コーンポタージュはセットには含まれていません」と言われたら、そこで話を終われば良いし、
もしも、
「コーンポタージュでも料金は同じです」と言われたら、
その時初めて、「じゃあ、それに変更します」と言えば、OKです。
まとめ
タイ人の多くは、
「〇〇じゃないなら、希望しない」
という「IFの希望」を、なかなか理解してくれないことが多いです。
そのため、日本人としては、歯がゆさや、もどかしさを感じてしまう事もしばしばです。
というか、逆に言うと、日本人が、相手のために気を回し過ぎなのかもしれないですね。
ですので、タイの人と話すときは、
「指示するのか、指示しないのか」
という風に、なるべく、話の内容をシンプルにしておいた方が、良さそうです。
ただし、
こういう話を理解してくれるタイ人も、もちろんいます。
全員が全員、という訳ではありません。
特に最近は、世代間のギャップがかなり大きいですから、
今回のような「タイあるある」も、一概には言えないようなところがあります。
「そういうこともあるらしい」
ぐらいに考えておいていただければと思います。