タイ語の【有気音】の発音に関して、
先日、受講生の方から次のような質問をいただきました。
私たちが「チャイ」や「チャン」のつもりで覚えていた単語が、
ネイティブの発音では、「シャイ」や「シャン」に聞こえることがあります。
なぜ、そのような現象が起こるのでしょうか。
今回は、タイ語のネイティブの発音で、
「チャ」が「シャ」に聞こえるのはなぜなのか
2、
「カ」が「ハ」に聞こえるのはなぜなのか
これらのテーマについて、掘り下げていきたいと思います。
Ch → Sh
まず、「チャ」が「シャ」に聞こえるケース。
これは、理由は明快で、
タイ語には、[Sh]の音がないからです。
タイ文字の表を観察していただくと分かりますが、
タイ文字には、[Sh]の音を表す文字がありません。
そのため、タイの人は、
Chの文字( ฉ や ช )を使って、
Shの音を表現し、
Chの文字( ฉ や ช )を、
Shの音で発音することがあります。
タイ文字の中に、
[Chi]と[Shi]の区別がない以上、
タイの人にとっては、[Chi]と[Shi]は、どちらも同じ音だからです。
ฉัน シャン(私)
最も代表的な例は、
歌謡曲の歌詞で「僕、私」を意味する「ฉัน シャン」という言葉。
ฉ はChの音なので、つづり通りに読むと、Chan(チャン)と発音するのが正式なのですが、
「ฉัน シャン」と聞こえるケースの方が、圧倒的に多いです。
これは多分、「ฉัน シャン」があまりにもよく使う言葉なので、
…という風な慣例ができているのではないかな?
と思います。
なので、
特に、ฉัน シャン(私)は慣例的にShで読まれることが多い
…と、覚えておきましょう。
ใช่ チャイ(そうです)
また、質問者の方も書いておられましたが、
タイ語で「そうです」を表す、
「ใช่ チャイ」という言葉。
これも、場面によっては、
「シャイ」と聞こえることが多々あります。
チャイ・ルーイ
↓
シャイ・ルーイ
(その通りです)
ใช่มั้ย
チャイ・マイ
↓
シャイ・マイ
(そうですよね?)
そのため、
私が定期的に作成している、
「タイソングのカタカナ歌詞」でも、
本来の発音が「チャイ・マイ」のところを、
シャイ・マイ
シェイ・マイ
…という風に表記することがあります。
これはつまり、歌手の人が、
「チャイマイ」という歌詞を、
そのときのフィーリングで、
「シェマイ~♪」
のように歌っている、
ということです。
以上をまとめると、
[Sh]で読まれることがある。 [Sh]で読むケースは、
慣例やフィーリングなど、
まちまち。
ということになります。
カ(Kha) → ハ(Ha)
そして、
冒頭で質問者さんが書いておられた、もう1つの質問。
のケース。
これには、2つの状況が考えられます。
「カァ」がたまたま「ハァ」に聞こえる
2、
「カァ」をわざと「ハァ」と読む若者言葉
では、順に見ていきます。
1、「カァ」がたまたま「ハァ」に聞こえる
1つめは、
たまたま「ハァ」に聞こえる、というケース。
「カァ」という音を、鼻にひっかけて言うと、
「カハァ」のような音になるので、
我々日本人には、「ハァ」と言っているように聞こえます。
これはつまり、
ということになります。
2、「カァ」をわざと「ハァ」と読む若者言葉
2つめは、
「カァ」をわざと「ハァ」と言っているケース。
これはおそらく、単に、
若者の流行だと思います。
⇒ サワディーハァ~
チャイカァ
⇒ チャィハァ~
ナカァ
⇒ ナハァ~
…などです。
おそらくみなさんも、こうした言い方を、
タイのドラマやTV番組などで、耳にしたことがあるかと思います。
これは、「そう聞こえる」のではなく、実際に「ハァ」と読んでいるケースです。
ただし、
これはあくまでも「若者の流行」なので、
我々日本人は、マネをしないほうが無難です。
相手に対し、失礼な印象を与えることがあるからです。
以上をまとめると、
タイの若者や、オシャレな女性は、語尾に「カァ」や「カップ」をつけるべきところで、
⇒ サワディーハァ~
チャイカァ
⇒ チャィハァ~
ナカァ
⇒ ナハァ~
のように言うことがある。
ただし、マネはしない。
…と、覚えておきましょう。
はい、今回は、タイ人の発音で
カ ⇒ ハ
のように音が変わるケースについて、ご紹介しました。
これらは、その時の歌手や話者のフィーリングであったり、または若者の流行であったり、理由はまちまちです。
あまり深くは考えず、
「そういうケースもあるらしい」
と、覚えておくようにしましょう!