今回は、「タイ人のマナーと民度」というテーマで、少しお話をしていきます。
タイ関連のブログをいくつか読んでいて、1つ、気づいたことがあります。
それは…
「タイはずっとこのままである」という人と、
「タイは今後変わっていく」という人、くっきり2つに分かれる、ということです。
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前者の、「タイはずっとこのままである」というブログのほうが多数派で、
・タイ人は時間を守らない
・タイ人はいい加減である
・タイ人は平気で嘘をつく
…などなど、いわゆる、タイ人の「良くないマナー」が取り上げられ、
「タイあるある」のようなことが書かれていることが多いです。
もちろん、「タイ人は大らかで優しい」のような、「良い面」が書かれることもありますが、
良い点よりも、悪い点を書いたほうが、人は読みやすいため、
これらのブログはおのずと、
「タイのこういうところがイヤだ」という論調になりがちです。
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反対に、少数派ではあるものの、
「タイは今後、もっと良くなっていく」
という、前向きな「タイ観」をつづっている人もいます。
今後よくなる、というのは、つまり…
「時間にルーズと言われているタイ人であるが、最近は時間を守るタイ人も増えてきた」
などの記事です。
こうなると、「一体どちらが正しいのだろうか」という気になりますよね。
「時間がルーズ」という点で言えば…
「タイ人は今後もずっと、時間にルーズなままなのか」
それとも、
「今後は、時間を守れるタイ人が、増えていくのか」
ということです。
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私の個人的な意見としては…
時間はかかるかもしれませんが、タイ人のこうした「良くないマナーやメンタリティー」というのは、
今後、新しい世代の中で、「改善されていくだろう」と思っています。
「他人に微笑まない」
「お礼を言わない」
「謝らない」
「平気でうそをつく」
「努力しない」
「言い訳をする」
…などなど、こうしたメンタリティーは、一言で言えば、
「文化的に未発達である」
と、言い換えることができるからです。
つまり、タイで、時間を守らない人が多いのは、決して「不治の病」なのではなく…
「タイという国の文化レベルが、
まだそこまで達していないだけ」
と、言えるからです。
国の文化レベルが上がっていけば、おのずと、そこに住んでいる国民も、
「できなかったことができるようになる」可能性があります。
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たとえば…
ほんの十数年前まで、タイ人も、他のアジア諸国同様、「行列に並ぶ」というマナーを知りませんでした。
しかし、今では、どこの役所や銀行でも「番号札」を置くようになり、
現在ではタイ人も、行列に並んで順番を待つ、ということが、ほぼ完ぺきにできるようになっています。
理由は明確で、順番通りに待ったほうが、全体として、はるかに「ラク」になるからです。
全体の、将来の利益を考えた方が、
結局のところ、一番ラクになる」
これを知ることを、「文化レベルが高い」と言います。
つまり、タイの文化レベルが上がったことで、みなが行列を待てるようになった、ということです。
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また、「バス停の置き引き」も同様です。
昔、タイでは、バス停の椅子に荷物を置いておく、なんてことは考えられませんでした。
でも、日本へ旅行に行ったタイ人たちが、
「日本では、カバンを外へ置いておいても盗まれない」という体験談を持って帰ってくるようになり、これが広く知られるようになると…
タイでも、いつしか、公共の場所においてある他人の荷物は、めったに盗まれなくなっていきました。
これまた、そのほうがラクだからです。
バス停に、1人でも盗っ人がいたら、全員が、荷物を見張り続けなければいけません。
でも、「バス停で他人の荷物を盗まない」という空気ができていれば、全員が、盗まれる心配をしなくてよくなります。
つまり、
「文化レベルを上げれば、文化レベルが低かったころよりも、物事を円滑に、ラクに行なうことができる」
ということを、理解できるタイ人が増えてきた、ということです。
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「嘘をつく」というメンタリティーも、同様です。
現状では、平気で嘘をつくタイ人は、まだまだ多いですが、
今後、「嘘をつかない方がラクになれる」ということを、知る人たちが増えていけば…
くだらない嘘をつくタイ人は、当然、減っていくことが予想されます。
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以上をまとめると…
タイ人が、時に「マナーがなってない」ような行動をしてしまうのは、国としての文化レベルが、まだ十分に成熟していないからです。
ですので、「ずっとこのまま」ということは、あり得ないと思います。
もちろん、まだまだ膨大な時間がかかるでしょう。
しかし、タイで中間層が増え、外国を知る人が増え、日本を知る人が増えていけば、
文化レベルは少しずつ、底上げされていきます。
こうなれば、
「行列は並んだ方がラク」
「嘘はつかない方がラク」
「サボらずにちゃんと仕事したほうがラク」
ということが、広く知られていきますから、人々もマナーも、確実に、良くなっていくはずです。
現に、都市部の中間層の若者は、こういうことをキチンと知っています。
現在巷で言われている、タイ人のマナーの悪さを取り上げた「タイあるある」は、
ひょっとしたら20年後、「もうそんなタイ人はほとんどいない」なんていう状態になっているかもしれません。