タイ語で「せっかく買ったのに!」は何と言う?せっかくの親切が無駄になった時のタイ語フレーズ

Gilmanshin / Pixabay

「せっかく」っていう言葉、タイ語でなんというか、ご存知ですか?

こういう日本語独特の表現って、外国語に訳すのが難しいですよね。

そこで今回は、「せっかく買ってきてあげたのに!」というようなニュアンスを表す、タイ語のフレーズについて、ご紹介していきます!

タイ語で「せっかく」はなんという?

実はタイ語にはちゃんと、「せっかく」と訳すことのできる単語があります。

タイ語で「ウッサー」と言います。

例えば、
あなたが外出から帰ってくる時、帰りにショッピングセンターに寄って「ピザ」を買ってきたけれど、家族はすでに、ご飯をお腹いっぱい食べ終えていた…という場合。

ウッサー・スー・マー・レェーオ
(せっかく買ってきたのに!)

と、言います。

スー・マー・レェーオ

は、「買ってきた」という意味です。

スー 買う
マー 来る
レェーオ 完了

…です。これはそのままの語順だから、解りやすいですよね。

そして、この文頭に「ウッサー(せっかく)」をつけると、

ウッサー・スー・マー・レェーオ
(せっかく買ってきたのに!)

という意味になります。

タイ人は、買ってきた食べ物であっても、非常に粗末に扱いますから、「せっかく…」のフレーズは、ぜひ覚えておきましょう。

もう一つ、例を挙げてみます。

例えば、
あなたが2時間以上かけて仕上げた書類を、満を持して担当者に渡しに行ったら、担当者に「あぁ、この書類なら、先日〇〇さんが持ってきてくれたから、もういいのよ」と言われ、他人の業務とかぶってしまっていた…というような場合。

ウッサー・タム・ハイ・レェーオ
(せっかくやってあげたのに!)

…と言います。

これも、「ウッサー」をはずした普通の文章では、

タム する
ハイ あげる
レェーオ 完了

…ですので、これも、そのままの語順ですよね。

タム・ハイ・レェーオ
(してあげました)

ウッサー・タム・ハイ・レェーオ
(せっかくやってあげたのに!)

要は、普通に文章を作って、その文頭に「ウッサー」をつければ、

「せっかく○○したのに!」

という意味になる、というわけです。

構文としては、すごく簡単ですよね。

タイ語の「せっかく」の使い方は?

さて、重要なのは、ここからです。

日本語の「せっかく」と、タイ語の「ウッサー」は、どう違うのか。

こういうことを考えていくことが、「異文化理解」につながります。

これを知るために、覚えておくべきタイ語の単語として、

「ウッサーハガム」

という言葉があります。

これは、「工業」という意味です。

タイの会社で働いたことがある人は、おそらく、聞いたことがあるのではないでしょうか。

工業団地のことは、タイ語で

「ケーッ・ウッサーハガム」
「ニコム・ウッサーハガム」

と、言います。

「ウッサーハガム(工業)」は見ての通り、頭に「ウッサー」が付いていますよね。

「工業」と「せっかく」が同じ語源だというのは、なかなか興味深いことです。

つまり、こういうことです。

タイ語で「工業」を意味する「ウッサーハガム」という言葉は、その成り立ちとして、

「ウッサー」が元になっていますから、

  • 苦労してするもの
  • 努力してするもの
  • わざわざするもの

というようなニュアンスがあります。


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要は、タイ語の「ウッサーハガム(工業)」というのは、

「喜んでやってるんじゃない。わざわざ、苦労して作ってるんだ」

ということです。

いかにも、南国のタイ人らしい感じがしませんか?

ものづくりに対し、「喜び」を見出している日本人とは、語の成り立ちからして、根本的に、「工業」に対するものの考え方が違うということです。

日本語の「せっかく」とのニュアンスの違い

さて、なぜ私が長々と「ウッサーハガム(工業)」の話をしたかというと、

これは、「ウッサー(せっかく)」の、タイ語会話での使い方にも関連するからです。

先述の通り、タイ語の「ウッサー(せっかく)」には、

「わざわざ、苦労して、○○する」というニュアンスが込められています。

そのため、日本人が使う「せっかく」とは、微妙にニュアンスが食い違うことがあります。

例えば、次のようなケースです。

頭のいい子が、通学や家庭の事情などで、公立の小さな学校にしかいけない…というような場合。 日本語では、

「せっかく頭いいのに」なんて言いますよね。

でもこれ、タイ語に直訳しても、おそらくタイ人には通じません。

言われたタイ人は、「きょとん」とするはずです。

もう一つの例を見てみましょう。

例えば、村一番の美人の子が、くだらないヤンキー風の男に捕まって、のちに結婚し、そのヤンキーは全然仕事しないクズのような男で、彼女は結局、一生苦労することになってしまった…というような場合。

せっかく美人に生まれてきたのに…

これも、ニュアンス的には先程と同様です。日本語では、

「せっかく、こんなに美人に生まれてきたっていうのに…」

なんて言ったりしますよね。

やっぱりこれも、タイ語に訳すと今1つしっくりこないんです。

要は、タイ語の「ウッサー(せっかく)」には、

「行為や苦労」が伴う

ってことなんです。

それは、「工業」という言葉と語源が同じことからも明らかです。

つまり、

「せっかく、こんなに美人で、頭が良く、上品な家庭に生まれてきたのに」

というように、「生まれや運、先天的なもの」に対しては、

タイ語の「ウッサー(せっかく)」は、あんまり使わない、っていうことなんです。

まとめ

今回は、「ウッサー(せっかく)」というタイ語を取り上げ、

その使い方と、日本語の「せっかく」とのニュアンスの違いなどについて、ご紹介してきました。

要は、「苦労して、わざわざ、○○する」というのが、タイ語の「ウッサー(せっかく)」のニュアンスだということです。

また、タイ人は、食べ物を非常に粗末にしますので、

あなたがせっかく、みんなのために買ってきた差し入れを、だれも食べない…なんていう残念な場面は、しょっちゅうあります。

そのため、

ウッサー・スー・マー・レェーオ
(せっかく買ってきたのに!)

というフレーズは、日常生活では、わりとよく使いますから、ぜひ、覚えておきましょう!


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