10月、長かった雨季も終わり、
タイはいよいよ旅行に最も適した季節、「ハイシーズン」となりました。
特に、タイ北部のチェンマイは、
(紙気球祭り)や
ลอยกระทง ローイクラトン
(灯篭流し)など…
有名なお祭りが大規模に開催され、世界中から観光客が集まります。
タイ語のカナ表記
今回お話ししたいのは、タイ語の「カタカナ表記」について。
タイ語には、「あいまい母音」や「有気音・無気音」など、
日本語にない音が多くあります。
そのため、カタカナでタイ語の単語を書き表そうとしても……
カタカナでの書き方が、人によって違うこともよくあり、
混乱を生じることもしばしばです。
えっ、でも、どっちも同じものを指しているの?
どっちが正しいんだろう…
…みたいな。
「スクンビット通り」の発音は?
よく言われるのは、バンコクの大通りの名前、スクンビット通り。
これは、
・スクムウィット
・スクンビット
・スクンヴィット
…と、どれで書いても、じつは大差はありません。
「一般的には、スクンビットと書かれることが多い」
というだけのことで、
・スクンビット
・スクンヴィット
これらはいずれも、タイ語の発音を、カタカナで表そうとした結果に過ぎないのです。
ちなみに、
アルファベットで書くと、
「su-khum-wit」なので……
「スクムウィット」
が現地の発音に一番近いです。
ローイクラトンはどう書く?
今回表題として掲げた、
「ローイクラトン」もその1つ。
「ローイクラトン」は、カタカナで書こうとすると、じつに様々な書き方があります。
今回はまず、
書き方が存在するのか」
ということについて、お話しをしていきます。
長母音と短母音
まず、長母音と短母音。
タイ語では、長い音と短い音を明確に「別の音」として区別します。
例えば……
タイ語で「カオ」は「入る」という意味ですが、
「カーオ」と言うと、「ご飯」という意味になります。
つまりタイ語では、音が長いか短いかで意味が変わってくる、ということです。
しかし、日本語の場合は……
長母音と短母音の区別は、そこまで厳密ではありませんよね。
タイ風チャーハンのことを、「カオパット」と書く人もいれば、「カーオパット」と書く人もいます。
「ローイクラトン」も「ロイクラトン」も、いわば、話者のさじ加減一つなのです。
有気音と無気音
次に、有気音と無気音の区別。
発音の際に、強く息を出す音を「有気音」、
息を出さずに発音する音を「無気音」と言います。
タイ語の ก [k]は、カタカナで書くと「カ行」に相当しますが、
タイ語のkは無気音に属し、日本人の耳には「ガ」と聞こえます。
こうなると、カタカナで書く時は……
「クラ」でも「グラ」でも、どちらでも構わない、ということになります。
二重子音
最後に、二重子音。
タイ語の「kra」「pra」などの二重子音は、会話ではしばしば「L/R」が脱落します。
例えば、
タイ語で魚のことを「plaa プラー」と言いますが、会話ではLの音が抜けて、
「paa パー」と言っているように聞こえます。
このため、「kra(กระグラ)」は、「ka(ガ)」に聞こえます。
ローイクラトンをカタカナで書くと?
以上をまとめると、
「ลอยกระทงローイクラトン」をカタカナで書く時のバリエーションは……
●ロイガトン ●ロイグラトン
●ローイカトン ●ローイクラトン
●ローイガトン ●ローイグラトン
と、じつに8通りもの表記が可能になります。
しかも、これらはすべて、「同じ」タイ語の単語を表記しているんです。
なぜなら、
タイ語では、
・有気音と無気音
・二重子音
などなど、日本語にはない発音の区別があるため、
タイ語の単語をカタカナで表記しようとすると、何かと不具合が生じるからです。
一番ラクなのは?
個人的には、
「ロイカトン」が、
一番しっくりきます。
実際のところ、タイ人の発音を聞いても、
「ロイカトン」と言ってるように聞こえますから……
こちらが言う時も、「ロイカトン」と読むのが一番通じやすいです。
なので、タイ人との会話では、
「ロイカトン」で覚えておきましょう。
ちなみに、
Google検索だと、「ロイクラトン」が一番引っ掛かりやすいようです。
(=検索欄に予測で表示される)
そのためか、検索結果を見ていると…
「ロイクラトン」と書いているブログ記事を、比較的多く目にするような気がします。
でも、そもそも……
タイ語をカタカナで表記することじたいに無理があるのですから、
本来、「正解」なんてものはありません。
自分が聞こえたようにカタカナで書いて覚えておけば、とりあえずはそれで良いと思います。
通例はある?
た だ し ……
新聞や雑誌など、いわゆる正式なメディアでコラムを書く場合には、
「通例」で書くことが必要な場面もあります。
「通例」とは、つまり……
どのように書くのか
ということです。
そこで、
ウィキペディアの日本語版、および、
『ちゃ~お』などの日本語フリーペーパーなどをざっと見てみると……
一応、「ローイクラトン」が通例ということになっているようです。
なので、
きちんとした場所に記事を載せる時には…
「ローイクラトン」と書いておくのが、無難だと思います。