タイ語で、「持ってくる・持って行く」という表現は、非常によく使うのですが、
文法的には、若干ややこしいです。
そこで、今回から数回に分けて、タイ語の「持ってくる・持って行く」などに関する表現を、見ていきましょう。
タイ語で「持っていく・持ってくる」と言う時のポイント
今回の、「持ってくる」「連れて行く」などのタイ語表現を学ぶにあたり、鉄則が3つあります。
それは…
1.タイ語には、2つ以上の動詞を続ける表現が非常に多い
2.動詞を並べる順番は、時系列の順番に従う
3.目的語がある場合は、動詞の間に挟む
…以上の3点です。
では、順に見ていきましょう。
1.タイ語には2つ以上の動詞をつなげる表現が多い
タイ語で「持ってくる」と言うときは、英語の「bring(持ってくる)」のように、1語の単語で言うのではありません。
アオ(取る) + マー(来る)
⇒アオマー(持ってくる)
という風に、「2つの動詞をつなげる」という言い方をします。
・アオ(取る)+パイ(行く)
⇒เอาไปアオパイ(持っていく)
・アオ(取る)+マー(来る)
⇒เอามาアオマー(持ってくる)
と、なります。
一見ややこしく映るかもしれませんが、これはむしろ、
タイ語の学習が「簡単だ」と言える、最大のポイントの1つです。
英語より簡単
英語では、「bring(持ってくる)」という言葉と、「come(来る)」という言葉を、
それぞれ別個に覚えなくてはいけませんよね。
そのため、中学高校時代の英語の勉強では、とにかく「単語を覚える」という作業が、とてつもない重労働になります。
その点、タイ語では、今回の「持ってくる・持っていく」のように…
「既存の言葉を結合させて表現する」
という用法が多いため、新しい単語を覚えなくても、既存の知識だけで、十分、応用が利くわけです。
これは、「単語の学習」という観点からみると、かなりラクだと言えます。
2.時系列の順番に従う
タイ語で、2つ以上の動詞をつなげる時、気になるのは…
「じゃあ、どういう順番でつなげればいいの?」
という点ですよね。
順番は、「時系列」の順番に従います。
例えば、「持って行く」なら、時系列的には…
「ものを手に取って」、それから、「行く」という順番ですよね。
ですので、その順番どおりに、「アオ・パイ」と言えばいいんです。
ここでさらに応用編。
「持って来て使う」という風に、3つの動詞でも、基本は同じです。
「เอาアオ(持って)」
「มาマー(来て)」
「ใช้チャイ(使う)」
⇒ เอามาใช้
アオ・マー・チャイ
(持って来て使う)
と、なります。
これまた、英語より簡単ですよね。
「実際に動作が行われる順番で、そのまま、動詞を並べるだけで良い」
ってことですから、非常に楽です。
また、この用法では、英語の「and」のような「接続詞」なども、基本的には必要ありません。
動詞を、そのままの形で、そのまま並べるだけで、通じます。
3.目的語は、動詞の間に挟む
動詞を2つ以上つなげる場合、目的語は、動詞の間に挟みます。
これがおそらく、今回の最も重要なポイントです。
例として、先ほどの、
・アオ・パイ(持って行く)
・アオ・パイ・チャイ(持って行って使う)
という言葉に、「เงินングン(お金)」という目的語を挟んでみましょう。
お金を持っていく
เอาไป
アオ・パイ
持っていく
↓
เอาเงินไป
アオ・ングン・パイ
お金を持っていく
↓
เอาเงินไปใช้
アオ・ングン・パイ・チャイ
お金を持っていって、使う
お金を持ってくる
เอามา
アオ・マー
持ってくる
↓
เอาเงินมา
アオ・ングン・マー
お金を持ってくる
↓
เอาเงินมาใช้
アオ・ングン・マー・チャイ
お金を持ってきて、使う
…と、なります。
今回の項目で、最もややこしいのは…
おそらくこの「目的語を動詞の間に挟む」というポイントだと思います。
これは、前項でご紹介したように…
「お金を持つ」、それから「行く」、それから「使う」という風に、時系列で考えれば、わかりやすいです。
あくまでも、一番初めの動作は、「アオ・ングン(お金を所持する)」ことですよね。
ですので、目的語も、「アオ(取る)」の直後に入れてしまう…ってことです。
もう1つ、別の例で、見てみましょう。
米を買ってきて食べる
ซื้อข้าว
スー・カーオ
米を、買う
↓
ซื้อข้าวมา
スー・カーオ・マー
米を、買って、くる
↓
ซื้อข้าวมากิน
スー・カーオ・マー・キン
米を、買って、きて、食べる
こうして並べて見ると、はじめの「スーカーオ(米を買う)」の部分は、変わっていませんよね。
つまり、動作としては「米を買う」のがスタートです。
そこから、「その米を、買ってどうするのか」ということを、動詞でつないでいって、表現するわけです。
まとめ
いかがでしたか。
今回は、「持ってくる・持って行く」
1.タイ語には、2つ以上の動詞を続ける表現が非常に多い
2.動詞を並べる順番は、時系列の順番に従う
3.目的語がある場合は、動詞の間に挟む
以上、3つのポイントについて、ご紹介してきました。
タイ語の日常会話では、かなりよく使う表現です。
「動詞の連結さえ理解すれば、初級会話はマスターできる」
と言っても、過言ではありません。
เอาไปใช้
「アオ・パイ・チャイ」
(持って行って使う)
เอาเงินไปใช้
「アオ・ングン・パイ・チャイ」
(お金を、持って行って使う)
ซื้อมากิน
「スー・マー・キン」
(買ってきて食べる)
ซื้อข้าวมากิน
「スー・カーオ・マー・キン」
(ご飯を、買ってきて食べる)
のように、日常よく使う表現を、いくつか練習して、覚えておくようにしましょう。
⇒【第2回へ続く】
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