【タイ 合掌】タイ人が手を合わせて挨拶(ワイ)しなくなった3つの理由~タイ現代社会の問題とは【前編】

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「ワイ」とは、「合掌」を表すタイ語で、タイが誇る伝統文化の1つです。

「タイでは、人に会うと、手を合わせてワイ(合掌)の挨拶をします」

ということが、タイのガイドブックなどを読むと、必ず書かれていますよね。

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でも近年、この「ワイ(合掌)」挨拶が…

「すたれ始めている」という事実を、ご存知でしょうか。

これは、タイ人の「上下関係」を根底から覆す、まさに「伝統社会の崩壊」とも言うべき、由々しき事態です。

今回は、タイ人の若者が手を合わせて「ワイ(合掌)」の挨拶をしなくなった、「3つの理由」について、お話ししていきます!

1.そもそも身に付いていない

タイで、西洋人と話しているタイ人を観察してみると、よく分かりますが…

タイ人は、西洋人と挨拶をする時、あまりワイ(合掌)をしません。

もしも、タイ人が西洋人に対してワイ(合掌)しているシーンがあるとすれば、それは…

「その西洋人がタイ通で、タイ人と会うたびに合掌するタイプの人」

に限ります。

しかし、そんな西洋人は少数派です。

ほとんどの場合…

西洋人が「ハァーイ」と挨拶をすると、

タイ人もそれに合わせて、「ハァーイ」と、挨拶をします。

たとえ、その西洋人が、「目上」であってもです。

要は、タイ人は、ワイ(合掌)の際…

「相手を選んでいる」ってことになります。

もうこの時点で、「国全体の文化」だとは言えないんです。

日本と比べてみる

「西洋人に合掌しないなんて……そんなの、当然じゃないか。」

って思いますか?

ところが、「当然」ではありません。

例えば、私たち日本人は…

友人と会った時にも、会釈をしたり、お辞儀したりしますよね。

また、近所で知り合いの外国人に会っても、やはりお辞儀をするはずです。

「相手は外国人なんだから、お辞儀なんてしなくていいっしょー」

なんていう人もいますが、日本では確実に『少数派』です。

また、日本人の多くは、

たとえ電話口であっても、お辞儀をしながら話をします。

これはつまり、「お辞儀」という習慣が、日本人の体に染み付いてるからです。

体に染み付いているわけではない

一方、タイ人はというと…

ワイ(合掌)の挨拶が、「特に体に染みついている」ってわけではありません。

特に、若い世代ほど、それが顕著です。

ためしに、あなたがいつも「やぁ」と挨拶している、年下のタイ人に対し…

ある日突然、おもむろに、手を合わせて「サワディー・カァ」と挨拶をしてみてください。

相手のタイ人は…

「お、おぅ、サワディー…」

と、きまり悪そうに、フワっと手を合わせて、ワイ(合掌)を返すはずです。

これはつまり、合掌が、「条件反射になるほどには身に付いていない」ということを表します。

だからこそ、タイ人が、西洋人に会ったときには…

「ワイ(合掌)なんて、しなくてもよい」

と、頭で「勝手に」判断して、西洋風の挨拶になるんです。

もしも、本当に、

合掌が、民族の文化として、完全に体に染み付いているなら…

相手が西洋人でも、
どこの国の人であっても、

目上の相手には当然ワイ(合掌)をするはずだからです。

できればやりたくない?

ここで、ちょっと「意地悪」な見方をすると…

「できれば、ワイ(合掌)なんてしたくねぇなー」

と、タイ人も、内心思っているのかもしれません。

だからこそ、ワイ(合掌)の習慣がない外国人と対峙したときに…

「いちいちワイ(合掌)をしない」

という判断をするのでしょう。

2.異国文化が大量に入ってきた

また、今のタイの若い世代は、「外国」というものを、非常に身近に感じています。

特にタイ人は、「西洋コンプレックス」が強いですから…

「西洋人のように振る舞う」ことを、「カッコいい」と考えているフシがあります。

そのため…

「別に、ちょっと外で会ったぐらいで、手なんて合わせなくてよくね?」

「海外だと、ワイしないのが普通じゃん?」

と、考える層が増えてきたことも、

タイでワイ(合掌)が廃れてきた一因ではないかと考えられます。

一長一短?

ともあれ、この現象は、いわば「一長一短」です。

つまり、

タイ人の若者が、心からワイ(合掌)をしなくなったことには、良くない点だけでなく、良い点もある…ってことです。

短所、よくない点は…

タイで長年重視されてきた、「上下関係」がおろそかになり、伝統文化が崩壊してしまうことです。

年長者が敬われなくなり、家庭内や、地域社会の秩序が、保たれなくなります。

一方で、長所、良い点としては…

「本当に尊敬に値する相手なのか」

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ということを判断して、行動できるようになった、という点です。

追放デモがやたら多い

例えば、近年、タイのニュースを見ると、

・学校の教員の追放デモ
・校長先生の追放デモ
・村の村長の追放デモ

などが、全国各地で行われています。

要は、

「お前のような腐った人間が、俺たちの上に立っていることは許さない!」

という、意思表示です。

時代が変わった

でも、昔は、「追放デモ」なんて、考えられませんでした。

タイでは昔から、偉い人は絶対的に偉い人であり、それこそ、手を合わせて当然の存在でした。

「偉い人」という存在が、領主や村長など、社会の中でも限られていて、なおかつ…

タイも昔は世襲制でしたから、「ボスが別の家系に入れ替わる」なんてことは、そうそうなかったんです。

ところが今では、試験にさえ合格すれば、だれでも役人になれます。

また、良くない商売をして財を成し、そのお金を資金にして立候補する人が、後を絶ちません。

また、立候補をせずとも、ちょっと商売がうまくいけば…

それだけで、村の有力者のような顔をして、表を歩くことができます。

要は、タイ社会の上下関係が、非常に「流動的」になってきたんです。

3.敬意を払うべき相手かどうかを見抜くようになってきた

こうなると…

「あの人、私たちの上に立ってるけれど、そこまで大した『人格の持ち主』じゃぁないわよね…」

ということに、タイ人もさすがに気がつきます。

たとえ、社会的地位は上であっても…

「敬うべき人と、敬うべきでない人がいる」

という考えが、社会全体に浸透していきます。

ここで、ワイ(合掌)に話を戻すと…

「ワイ(合掌)をするに値する人と、値しない人がいる」

という発想になっていくわけです。

当のタイ人も、教え方を迷っている

そして、「合掌や敬意に値しない人」の率が増えていくと…

結果的に、「ワイ(合掌)の挨拶」そのものが、すたれていくわけです。

その証拠に、タイ語のネット検索では、すでに

「子供にワイ(合掌)の習慣を身に付けさせる5つの方法」

なんていうタイ語の記事が上位表示され、多くのタイ人ユーザーにシェアされています。

これはつまり、

「当のタイ人の大人たちも、子供にどうやって、ワイ(合掌)の習慣を身に付けさせれば良いかが、分からない」

ということを、如実に表しています。

タイは今、それほどまでに、「ワイ存亡の危機」なのです。

まとめ

いかがでしたか。

今回は、タイ人の若者たちが、近年、ワイ(合掌)をあまりしなくなった理由として…

1.
そもそもちゃんと徹底されていない

2.
外国文化が大量に入ってきた

3.
尊敬に値しない大人が増えてきた

以上3つの理由を、ご紹介してきました。

もちろん、これによって、「盲目的に」年長者に従うことがなくなって…

「悪い役人や議員を、世論で追放できるようになった」

というメリットも、確かにあります。

良く言えば、「近代的になってきた」のかもしれません。

でも、悪く言えば、

タイ人の若者が、タイ人の大人を敬わなくなったことで…

年功序列や、家族社会、地域社会などが、タイでも「崩壊」しつつあります。

でも、これって、戦後バブル期の日本とも、よく似ていますよね。

その結果、「日本はどうなったか」を考えれば、今後のタイの行く末も見えてきます。

やっぱり、

年長者を敬うって、

すっっっごく大事なことだと思いませんか?

むしろ、逆に、

私たち日本人が、タイ人に対して「ワイ(合掌)の大切さ」を教える時代が、来るかもしれませんね。

2018年7月追記

おかげさまで、

このたび、「タイ 合掌」のグーグル検索で、この記事が上位表示になりました。

これはすなわち、多くの日本人が、

「タイ人はワイをすると聞いていたけれど、そんなにしてなくね?」

と、感じていることの証左でもあります。

そこでこのたび、この記事に加筆修正を行なうとともに、

新たに「続編」を書きました。

よろしければ、
↓↓こちら↓↓も参考になさってみてください。
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