タイ語Q&A:表記が2種類?タイのカラオケ字幕のアルファベットと発音記号とはどう違うのか

質問01
●タイ語発音のアルファベット表記法は、統一されていないの?

●タイ語の発音を、普通のアルファベットで表記しているサイトやアプリがあるのはどうして?

これは、先日受講生の方から寄せられた質問です。

たしかに、タイ語関連のサイトやアプリを見ると、発音の表記法がバラバラであることが多く、

こうした表記法は、タイ語の学習者にとって、最も混乱しやすいポイントの1つです。

書き方がバラバラ?

たとえば、BNK48の『次のシーズン』には、冒頭に次のような歌詞があります。

วันเปลี่ยนไป
(移り変わる日々)

これを、タイ語学習用の発音記号で書くと、

「wan plian pai」

となります。

「wan plian pai」は、誰が見ても、

「ワン・プリアン・パイ」と読むことができます。

しかし、一般に欧米発・欧米向けのサイトやアプリには、

「wun bplian bpai」

のような表記が使われていることがあります。

「bp」って何?って感じですよね。
こんなの、初見では全く読めません。

英語圏の人用

これは、一言で言うと、「英語圏の人用」の発音表記です。

英語圏の人にとっては、「oo」を「ウ」と読み、「un」を「アン」と読むことに慣れています。

そして、「無気音のp」を「bp」と書いて表したりします。

つまりこれは、

・英語を読む時の感じで、タイ語を読んでいる

・タイ語を勉強したことのない外国人でも、英語の読み方を知っていれば発音できる

という目的で書かれたもので、

完全に、「欧米寄り」の書き方なのです。

現に、「BNK48 Lyric」などで検索すると、こうした「欧米式」の発音で書かれたサイトが、ずらずらっと出てきます。

あまり使えない

ただしこの書き方は、統一表記とは言い難く、書く人によって表記が違います。

また、この書き方だと、肝心の「声調」を書くことができないため、タイ語の体系的な学習には、あまり適していません。

タイ人式もある?

また、これだけではありません。

「タイ人式アルファベット」というものもあります。

これは、タイの役人が、タイの地名などをABCのアルファベットで表記したもので、道路標識などに書かれています。

しかし、これまた、実際の発音とかけ離れているものが多いです。

よく知られたものとしては、空港名の「スワンナプーム」があります。

タイ人式では、これを「Suvarnabhumi」と書きます。

でも、こんなのどう見ても、「スヴァルナブーミ」としか読めませんよね。

「スヴァルナブーミ」
 ↓
「スワンナプーム」

と、わざわざ脳内変換をしなくてはなりません。

キツネとツルのスープ

要は、欧米人も、タイ人も、

「それぞれ自分が読みやすいように書いている」

ということなのです。

そのいずれでもない日本人にとっては、ただただ「ややこしい」以外の何物でもありません。

「自分の好みと、相手の好みとが一致しない場合、相手に苦痛を与えることがある」

……これはまさしく、イソップ童話の『キツネとツルのスープ』の世界です。

「発音記号」が重要

一方、日本人用のタイ語学習においては、

こうした「英語圏用のアルファベット」や「タイ人用アルファベット」ではなく……

「ɯ」や「ə」などの記号を用いて、タイ語の発音を表すのが一般的です。

これを、
「発音記号」と呼びます。

発音記号であれば、音と記号とが1対1で対応しているため、

発音記号を見れば、タイ語でどのように発音するかが分かるようになっています。

発音記号は全国統一

しかも、この「発音記号」は、日本全国でほぼ統一されている記号です。

A社の参考書に「ɯ」と書いてあったら、

B社の参考書にも、同じく「ɯ」と書いてある、ということです。

([ai]と[ay]など、編集者によって多少のつづりの違いはありますが、おおむね、統一されています。)

また、発音記号であれば、「声調」もセットで表記できますから、学習に無駄がありません。

そのため、日本のちゃんとした学習書には、「ɯ」や「ə」などの発音記号が書いてある、ということなのです。

こんなにも便利なものを、覚えない手はありません。

発音記号を覚えるのが一番の近道

なので、初めのうちは、

「ooウ」、「unアン」、「bp無気音のプ」などの欧米向けの表記法で書かれたものは無視して…

「ɯ」や「ə」などの発音記号を覚えていくのが、面倒なように見えて、やはり一番の近道だと思います。



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