タイ語とミャンマー語の5つの違い~どちらが難しい?単語や発音、文法は似てるの?

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タイ語とミャンマー語(ビルマ語)は、全く別の言語です。

今回の記事では、タイ語とミャンマー語が、

「どれくらい似ていないのか」ということについて、ご紹介していきたいと思います。

タイ語とミャンマー語は似てるって本当?

先日の記事で、

「タイに出稼ぎに来ているミャンマー人は、タイ語の習得が早い」

というお話をしましたが、これをお読みになって、

「えっ、タイ語とミャンマー語って、似てるんじゃないの?」

「隣国同士なんだから、習得が早いのは当たり前なんじゃないの?」

と、感じた人が、少なからずいたようです。

また、このブログには、「ミャンマー語」という検索キーワードで、来てくれる人もいますから、

タイ語ブログでありながら、ミャンマー語に関心のある読者も、意外と多いです。

実際のところ、タイにいると、ミャンマー語に触れる機会はけっこうありますから、

「ミャンマー語って、そもそもどういう言語なの?」

というのは、やはり気になるところですよね。

そこで今回は、「タイ語とミャンマー語の5つの違い」について、ご紹介していこうと思います。

1.語順が違う

まず、最大の違いは、「語順」です。

つまり、タイ語とミャンマーでは、文法そのものが、まるっきり違う、ということです。

目的語+動詞

タイ語で、「ご飯を食べる」は、

「キン・カーオ」

と言いますが、

キンが食べるで、カーオがご飯ですから、

「動詞+目的語」の順ですよね。

一方、ミャンマー語では、「ご飯を食べる」ことを、

タミン・サー

と言います。
単語の意味は、

タミン ご飯
サー 食べる

と、なっています。

つまり、ミャンマー語は、日本語と同じで、「目的語+動詞」の順番で言う、ってことです。

形容詞+名詞

また、タイ語で名詞を就職するときは、名詞が先に来て、修飾語を後ろにおきます。

コン・タイ
タイ人

コン・イープン
日本人

いずれも、「人(コン)」が先にきていますよね。

一方、ミャンマー語で、「~人」は

「ルゥミョー」

と、言いますが、

ジャパン・ルゥミョー
日本人

バマァ・ルゥミョー
ビルマ人

シャン・ルゥミョー
シャン族

…という風に、

「人(ルゥミョー)」が、後ろに来ています。

つまりミャンマー語では、これまた、日本語と同じで、

「形容詞が前に来て、名詞が後ろに来る」

という事になります。

2.声調の仕組みが違う

タイ語には、「音」の上がり下がりや高低で意味の違いを表す、「声調」というものがあります。

たとえば、日本人の大好きなタイ料理のメニューの1つに

「カオマンガイ」

がありますが、声調はそれぞれ、

カオ が落ちる音
マン は高く平らな音
ガイ は低く平らな音

で読みます。

一見難しそうに見えますが、タイ語の声調では、「音の長さ」は、関係ありません。

すべて、同じ「拍(リズム)」です。

そのため、音の上げ下げにさえ気をつけておけば、

「ぽん・ぽん・ぽん」という風に、「カオ・マン・ガイ」と均等なリズムで読むだけで、十分、通じるんです。

でも、一方、ミャンマー語の場合は、

上げ下げがそこまで重視されない分、

「音の長さ」や「小さい【ッ】」など、「リズム」が重視されます。

ミャンマー語で、「チ」という音を例に取ると、

「チッ」愛する
(小さいッを添えて読む)

「チー」大きい
(平らに長く読む)

「チィ」見る
(短く落として読む)

のように、「リズム」で音を区別します。

そのため、タイから初めて飛行機でミャンマーへ行った人は、

ミャンマー航空の機内アナウンスを聞いて、

「なんて美しい言語なんだ」と、感じます。

実際、発音のきれいな人がミャンマー語を読むと、本当に歌っているように聞こえます。

まとめると、
タイ語では、リズムが重視されないため、

「ぽん・ぽん・ぽん」と、均等なリズムで聞こえるのに対し……

ミャンマー語は、

「ぽん・ぽんっ・ぽぉーん・ぽぅん」

という風に、リズム付きに聞こえる、という違いがあります。

3.子音の種類が多い

タイ語で、多くの日本人が「難しい」と感じている点の1つに、

「発音の種類の多さ」があります。

タイ語には、無気音や有気音、鼻音など、日本語にない音がたくさんあります。

でも、実は、ミャンマー語の子音の種類は、タイ語よりも、

もっと多いんです。

代表的なものとしては、「hn」「hm」の音です。

「hn」「hm」とは?

タイ語では、「ナ」や「マ」の音は、それぞれ1種類ずつしかありません。

一方、ミャンマー語では、「フニッ」「フマッ」のように、鼻から息を出しながら出す音、というのがあります。

これが、初心者にはかなり難しいんです。

例えば、ミャンマー語で「20」のことを

「ナセェ」といいますが、

頭の「ナ」は、鼻から息を出す音です。

そのため、ミャンマー語で「2」を言う時は、

「フナセェ(20)」
「フナヤァ(200)」
「フナタオン(2000)」

という風に、鼻から「ふんっ」と漏れる息を意識して、発音する必要があります。

「t」の音が多い

また、これ以外にも、ミャンマー語には、英語のような「th」の音があります。

これは、英語の this とか think とかに出てくる、

「舌先をかむthの音」です。

これも、タイ語にはありません。

しかしミャンマー語には、「舌先をかむthの音」があるため、

・普通のt
・息を出すht
・舌先をかむth

これら3つを、意識して、区別しなければなりません。

たとえば、ミャンマー語で「ター」と言うとき、

舌を丸めて「ht」で「ター」というと、

「置く」という意味になり、

舌先を噛んで「th」で「ター」というと、

「息子」という意味になります。

この発音も、初心者には、かなり高いハードルです。

4.母音は少ない

ミャンマー語では、前項の「子音の種類が多い」というのとは対照的に…

「母音の種類」は、タイ語よりも少ないです。

タイ語には、「曖昧母音」や、「イの口でウ」などのような、

「日本人に馴染みのない母音」

が、たくさんあります。

一方で、ミャンマー語の母音は…

基本、「アイウエオ」だけですから、日本のカタカナの感覚で読めば、そこそこ通じます。

「ミャンマー語は、タイ語ほど母音が多くない」

これは、日本人にとっては、学びやすいポイントではないかと思います。

5.ミャンマー語の音節末は「ッ」と「ン」だけ

ミャンマー語にはもう一つ、「タイ語よりも学びやすい」と言えるポイントがあります。

それは、「音節末の音」です。

「音節末」とはどういうことかと言うと、

たとえば、タイ語には、同じ「カー」という音でも、

「カーク」
「カート」
「カープ」
「カーム」

など、ラストに来る音が色々ありますよね。

これは、タイ語学習における最も難しいポイントの1つです。

一方で、ミャンマー語には、

こうした「ラストのk」「ラストのm」「ラストのng」のようなものはなく…

あるのは、

「ッ」と「ン」だけです。

音節末は「ッ」と「ン」だけ

たとえば、ミャンマー語で「飲む」は

「タウッ」

と言いますが、

この「ッ」は、「t」でも「k」でもどっちでもいい…ってことです。

「ン」も、同様です。

ミャンマー随一の観光地である「バガン」は、

「n」で「bagan」と読んでも、「ng」で「bagang」と読んでも、ミャンマー人は、全く気にしないんです。

つまり、「ッ」と「ン」、この点に関しては、ミャンマー語は、日本語と同じ発音ですから、

日本人にとっては、かなり助かりますよね。

まとめ

今回は、タイ語とミャンマー語の大まかな違いについて、ご紹介してきました。

まとめると、

タイ語よりも難しい点

●ミャンマー語は、タイ語よりも「子音」の数が多い

●ミャンマー語では、音の長さや「ッ」など、リズムを重視する

タイ語よりもやさしい点

●ミャンマー語は、日本語と同じで、「目的語+動詞」の順に言う

●ミャンマー語は、日本語と同じで、「形容詞+名詞」の順に言う

●ミャンマー語は、タイ語ほど「声調」の上がり下がりが厳密ではない

●ミャンマー語は、タイ語よりも「母音」の数が少ない

●ミャンマー語は、「音節末の音」の種類が少ない。あるのは、「ッ」と「ン」だけ

こうして列挙してみると、タイ語とミャンマー語は、隣国でありながら…

全く、別の言語である

ということが、お分かりいただけると思います。

ミャンマー語とタイ語は、どれくらい違うのか。

例えて言えば…

「ピッコロ」と「諸星あたる」ぐらい、違います。

両者は、「声優が古川登志夫さん」「宇宙に縁がある」というぐらいしか、共通点がありません。

あるいは、「人造人間セル」と「アナゴくん」でも良いでしょう。

要は、「まるで違う」ってことです。



ミャンマー語は、タイ語よりも「子音の発音が難しい」という点はあるものの…

それ以外は、全体的に見ると、
タイ語よりも簡単です。

なので、
「日本人にとっては、ミャンマー語のほうが、学びやすいのではないか」

と、思うわけです。

ぜひ、参考になさってみてくださいね!



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