タイ語で、「書く」は
「เขียนキアン」
と言います。
「書く」はタイ語で「キアン」
使う場面としては、
●เขียนชื่อ
キアン・チュー
(名前を書く)
●เขียนภาษาไทย
キアン・パサータイ
(タイ語を書く)
などなど、
この単語をシチュエーションも限られていますから、特にややこしいポイントはありません。
↓音声はこちらから
●キアン(書く)
●キアン・チュー(名前を書く)
●キアン・パサータイ(タイ語を書く)
発音が意外に難しい
しかし、
この「เขียนキアン(書く)」という単語の、最大の問題は…
発音を少し間違うと、「まな板」という意味になってしまう、
という点です。
では、「書く」と「まな板」、2つのタイ語単語を、順に見ていきましょう。
■ラストはN
まず、「เขียนキアン(書く)」は、
子音が、有気音のkh、
声調が、尻上がりの5声で、
そして、ラストは「N」の音です。
トータルで、
「キィˇィアン」みたいに読みます。
■ラストはNG
一方、「เขียงキアん(まな板)」は、
子音も、声調も、全く同じ。
ラストだけが、「NG」の音です。
トータルでは、
「キィˇィアん」みたいに読みます。
↓音声はこちらから
●เขียง キアん(まな板)
いかがでしょう。
先ほどの「書く」との音の違いに、気づいたでしょうか。
ほとんど、同じに聞こえますよね。
NとNGの違いだけ
まとめると、
一方、「まな板」は、「เขียง khiǎng」で、ラストの音が[ng]
という違いになっています。
つまり、
「書く」と「まな板」は、ラストの音が、NかNGかという違いしかない
ということです。
NとNGの発音のコツ
ここで、
タイ語の[n]と[ng]の発音のコツを、ご紹介しておきます。
「ン」という時に、軽く舌を噛むと、
[n]の音になります。一方、「んぐっ」という風に音を飲み込むと、
[ng]の音になります。ためしに、何度か声に出して、練習してみてください。
ポイントとしては、
なるべく軽く短く、 [ng]の音を、
なるべく重く長く読む
というやり方がお勧めです。
こうすることで、両者の違いがハッキリして、区別がしやすくなります。
では、2つの単語を、並べて聞いてみましょう。
↓音声はこちらから
キアン(書く)⇒キアん(まな板)
日本人が、「ん」と言うと…
nとngの違いは、日本人にはなかなか難しく、
日本人が普通に「ん」と言うと、
タイ人には「ng」に聞こえることが多いです。
それで、私も初めのころは、
「書く(khiǎn)」と言うべきところで、
「まな板(khiǎng)と言ってしまったことが、
数回あります。
これは、日本語の「ん」が、
タイ語の「ng」の音に近いからです。
そのため、このサイトでは、『恋チュン』などのタイ語歌詞を書く際も、
N⇒ ン
NG⇒ ん
という風に、表記を書き分けています。
よく使うのは当然「書く」のほう
ただ、この2語の「使用頻度」で言えば、
「書く(khiǎn)」のほうが、圧倒的によく使いますから、
「書く(khiǎn)」の発音を、しっかり練習しておきましょう。
「N」の発音ですから、舌を噛みながら「ン」と言うと、タイ語の「N」の音に聞こえ、ちゃんと「書く」の意味になります。
タイのまな板ってどんなの?
ここで、豆知識として、
「タイの伝統的なまな板」についても、少し触れておきます。
タイの田舎で「まな板」というと、
一般に、この写真のような、木の幹を切った、丸い板を指します。
↓

これが、タイの伝統のまな板。
木を切る季節になると行商のおじさんが売りに来る
近年は、百均などで売られているような、プラスチック製のまな板が、タイでも売られるようになり、
都市部のタイ人も、プラスチック製を使うことが増えてきています。
でも、田舎では、今の「丸太のまな板」一択です。
木の材料は、タマリンドの木(マカームมะขาม)を使うのが一般的で、
タマリンド農家では、年に数回、木を切る季節、というのがあり、
そのときに切った木を、まな板として、売るわけです。
持ってみると分かりますが、やたら重くて硬いのが特徴です。
なぜこんなにバカでかいのか
先日、私の家で、このまな板がパキッと割れてしまい、新しいまな板を買おうとしていたところへ、
路上で、行商のまな板売りのおじさんを発見しました。
まな板を買ったついでに、「そうだ、記事にしておこう」と考えた次第です。
このまな板、なぜこんなにもバカでかいのかと言えば、
タイの田舎では、一般の家庭でも、普通に「精肉」をするからです。
つまり、骨付き肉を叩き切る、という用途が多いために、
タイのまな板は、「頑丈さ」が重視されている、ということです。
また、タイ料理の「ラープ」は有名ですが、
ラープを作る時は、包丁で肉を叩きながら、細切れにしていきます。

右下が、「ラープ」。
こういう料理をする機会が多いと、プラスチック製まな板よりも、
「やっぱり、頑丈なタマリンドの木のほうが良い」
ってことになるわけです。
まとめ
ほとんどの読者にとっては、
「タイでまな板を買う」という機会はめったにないとは思いますが、
「書く(khiǎn)」のついでに、
「まな板(khiǎng)」も、覚えておくと良いと思います。
理由は、もしも、タイ語初心者の日本人が「書く(khiǎn)」と発音すると、
タイ人には「まな板(khiǎng)」と聞こえることが多いからです。
もしも、あなたがタイ語で「キァン(書く)」と言った時に、相手のタイ人がクスクス笑っていたとしたら…
それは、タイ人が「キアん(まな板)」と聞こえたからかもしれません。
↓音声はこちらから
●キアン(書く)
●キアン・チュー(名前を書く)
●キアン・パサータイ(タイ語を書く)
●เขียง キアん(まな板)
●キアン(書く)⇒キアん(まな板)
そして、今回の記事でもう1つ重要なポイントは……
「まな板」という言葉を聞いたとき、日本人とタイ人とではイメージするものが違う、ということです。
タイではこの写真のような、分厚い丸太のような形状のまな板の上で、ナタ包丁を使って、骨付き肉を叩き切ります。
↓↓

これがタイのまな板
こういう知識のことを、周辺知識、または背景知識といいます。
海外生活において、こうした背景知識は、語学そのものの知識と同じぐらい重要です。
ぜひ、覚えておきましょう!!
お知らせ
突然ですが、ここでクイズです。 この画像、何と書いてあるか、分かりますか?