「あなた」はタイ語で
「คุณ クン」と言います。
タイ語で「あなた」を意味する言葉は、色々あるのですが、
「คุณ クン」は最もオーソドックスで、
すぐに使える「あなた」です。
タイ語の「あなた」は色々ある
タイ語では、「クン」以外にも、相手との年齢差に応じて、
「ピー/ノーン(年上/年下)」
などの呼称があります。
ただし、タイ語の「ピー/ノーン(年上/年下)」は、
相手と自分の年齢差が明らかでないと使えないので、
我々外国人には、若干ハードルが高いです。
その点、「クン」であれば、年齢差を気にせず、
初対面でもとりあえず使えるため、
我々外国人にとっても、非常に使いやすい言葉なのです。
「あなた(クン)」の発音は意外に難しい
しかし、そんな使いやすい「クン(あなた)」ですが、
1つだけ、問題があります。
それは、「khun クン」の発音が
意外と難しいこと。
というのは、タイあるあるの1つです。
「あなた(クン)」の発音が難しい4つの理由
では、前置きが長くなりましたが、
今回は、タイ語の「クン(あなた)」の発音が、なぜこんなにも難しいのか、その理由と、
「khun クン」をうまく発音するコツについて、お話しをしていきます。
1、語頭の[kh]
まず、「khun クン」の頭の子音は、[kh]です。
[k]の後ろに[h]がついていますが、これは「有気音」と言って、
発音の際に吐く息を伴う音です。
タイ語にはこのように、
無気音(吐く息を伴わない音)
という区別があります。
まずは、これが1つめのハードルです。
「khun クン」の[kh]は有気音なので、
「クフ」みたいな感じで、息を強めに出しながら、発音しなくてはいけません。
2、母音の[u]
母音の[u]も、簡単そうに見えて、意外に難しいです。
なぜなら、
タイ語には、カタカナで「ウ」と聞こえる音が、3つもあるからです。
そのため、母音の[u]を発音する時は、
「他のウの音」と区別するために、
ある程度、特徴を極端にして発音する必要があります。
発音記号の[u]は、口を丸くすぼめて発音する「ウゥ」という音です。
唇の形をまん丸にして、前に付き出した状態で、
「ウゥ」と発音します。
唇を前に付きだすことで、
[u]の音を強調することができます。
なので、タイ語で[khun]を読む時は、イメージとしては、
「クン」よりも「クゥン」のほうが、実際の音に近いです。
なので、このサイトで随時ご紹介しているタイソングの歌詞でも、
[khun]のところはあえて「クゥン」と表記しています。コォープ・クゥン・ティー・ラッガン
(愛してくれてありがとう)
「クゥン」と書いてあるのはつまり、
「ここのウの音は、口を丸くして、発音しましょう」
ということです。
3、声調は1声
また、タイ語には「声調(せいちょう)」というものがあります。
声調とは、音の上下や高低で意味を区別する、発音上のシステムのことを言います。
タイ語には、この声調が5つもあります。
「5つの声調がどんな音か」
という解説は、ここでは割愛しますが、
今回のテーマである[khun]の声調は、5つのうちの1つめ、「第1声」です。
1声は、普通の高さで、平らに発音します。
この「平らに発音する」というのが、
これまた、日本人には意外と難しいんです。
日本人は外国語を読むとき、ついつい、アクセントをつけがちだからです。
多くの人は、知らず知らずのうちに、
「クン↗」とか「クン↘」みたいに読んでしまうため、
khun (あなた)とは別の単語になってしまいます。
なので、
と言われても、パッと反応できない、というわけです。
これを、あえて「/ \ ー」などの棒で表すと、1声の平らな音は「ー」になるので、
「クゥンー」みたいなイメージになります。
そして、「khun」の発音のポイントは、まだ終わりではありません。
まだあと「もう1つ」あります。
それは、「語末のN」です。
4、語末のN
ラスト、4つめは、語末のNです。
タイ語の「ん」には、NとNGの2種類があり、
この2つの「ん」をきちんと区別しなくてはなりません。
これも、タイソングのカタカナ歌詞では、
ん:NG
という風に、表記を分けています。
NとNGの音の違いについての詳しい解説はここでは省きますが、
じつは、
日本語の「ん」に近いのは、
NGのほうなのです。
たとえば、
日本人が何気なく「四(よん)」と言った時、
タイの人は、「Yong」という風に、NGの音で認識します。
日本人が意識せずに読んだ「ん」は、NGの音になるからです。
Nは軽く舌を噛む
タイ語のNGの音は、日本人はわりとすぐに発音できるようになるのですが、
反対に、Nは、普段日本人があまり意識していない音です。
なので、
今回の[khun]のように、Nの音を発音する際は、
ある程度意識して、発音する必要がある、というわけです。
Nの発音のコツとしては、、
Nは短く聞こえる
そして、
NGとNのもう1つの違い。
Nの音は短く聞こえる
という傾向があります。
なので、
「khun クゥン…」という風に、
音を短めに切るようなイメージで発音すると、
タイ語の「คุณ khun」の音にかなり近くなります。
タイ語の「คุณ khun」の発音方法
では、解説が少し長くなりましたが、
タイ語の「คุณ khun」の発音のポイントをまとめると…
語頭は有気音。
息を出して発音するのKhの音。
2、
母音は、口を丸くすぼめるウ(u)の音。
3、
声調は、1声。
普通の高さで平らな音。
4、
語末のNの音を言う時は、
軽く舌を噛む。
5、
語末のNは、「ン」の音を短く切るようなイメージ。
「ん~」が長いとNGになる。
…以上の5点です。
これら5つのポイントを意識することで、
タイ語の[khun]の発音に近づくことができます。
このように考えると、、
タイ語の「คุณ khun(あなた)」の発音が、
「いかに難しいか」
ということが、
お分かりいただけると思います。
とりあえず、
[khun]の発音は「くん」ではなく、「クゥン」で覚えておきましょう。
「คุณ khun」の発音練習
では最後に、
実際のタイ語のネイティブ音声を聞きながら、
発音練習をしましょう。
「ありがとう」のコープクンも、
今回の[khun]の発音なので、
「コープクン」ではなく、
「コォープ・クゥン」
と発音してみましょう。
また、
「クゥン・チュー・アライ」で、
「あなたの名前は何ですか」
という意味です。
「クゥン(あなた)」
を練習するついでに、
「クゥン・チュー・アライ」
も練習しておきましょう。
クゥン(あなた)
クゥン・チュー・アライ・カァ
(あなたの名前は何ですか?)
コォープ・クゥン・カァ
(ありがとうございます)
今回は、タイ語の「คุณ khun(あなた)」の発音についてのお話でした。
それではまた。
お知らせ
突然ですが、ここでクイズです。 この画像、何と書いてあるか、分かりますか?