「誰かいませんか?」
「何かありますか?」
こうした、「誰か・何か」にあたる言葉を、文法的には、「不定代名詞」と言います。
「不定」とはつまり、
「特定のものを指しているわけではないけれど、漠然とした何か」という意味です。
今回は、この「誰か・何か」のような「不定代名詞」を、タイ語に訳すときのコツについて、ご紹介していきます。
不定代名詞とは?
「不定代名詞」という用語は、普段あまり耳慣れないかもしれませんが、
日常会話では、不定代名詞じたいは、非常によく使います。
例えば、
「何か食べる?」の「何か」は、不定代名詞です。
つまり、
「麺か、ライスか、特定はしないけれど、とりあえず何でもいいから、何か」
というニュアンスです。
タイ語にはない?
英語ではこういうとき、「Somethingサムシング」と言いますよね。
おそらく、高校の頃に習ったことがあると思います。
日本語でも、
「何か食べる?」
「誰かいないの?」
「どこか行こうよ」
というふうに、不定代名詞の入った文章は、非常によく使います。
でも、実は、タイ語には、こうした「不定代名詞」にあたる言葉は、ありません。
そのため、こうした不定代名詞の入った文章を、タイ語に訳す際には…
「タイ語特有の言い回し」
というものを、知っておく必要があります。
タイ語の不定代名詞
英語では、「何」は「What」、「何か」は「Something」と言いますよね。
見ての通り、全く形が違います。
しかしタイ語では、いずれの場合も…
「อะไรアライ」を使います。
しかも、かなりシンプルです。
「何食べる?」
「何か食べる?」
は、それぞれ、タイ語では次のようになります。
กินอะไร キン・アライ
●何か食べる?
กินอะไรมั้ย キン・アライ・マイ?
見ての通り、
文末に「マイ?」がつくか、つかないか、だけの違いです。
つまり、タイ語では…
「アライ」を単独で使うと、「何」という疑問視の意味になり、
文末に「マイ?」をつけて、「アライ~マイ?」という形にすると、「何か~」という、不定代名詞の意味になる…
ということです。
「何か~」のタイ語文
同じように…
ミー・アライ
●何かありますか?
ミー・アライ・マイ?
●何か要りますか?
アオ・アライ
●何か要りますか?
アオ・アライ・マイ?
…となります。
いたってシンプルですよね。
以上をまとめると…
●文章中に「アライ」が入っていたら、それは「何」という疑問視の意味。
●ただし、文末に「マイ」がつくと、「アライ」の意味は、「何か」という不定代名詞的な意味になる。
…ということです。
文型を覚えよう
この用法は、非常に簡単かつシンプルで、会話でもよく使うのですが、
タイ語の初級者の間では、意外に知られていません。
そのため、「何か質問はありますか?」というような日本語を、タイ語に翻訳する際に、
「えーと…質問すること、だから、これは関係代名詞を使って…」
なんていう風に、頭の中でこねくり回して、非常に難解な文章にしてしまいがちです。
しかし、タイ人が実際に使用する文章は、じつにシンプルです。
ミー・アライ
↓
●何かありますか?
ミー・アライ・マイ?
↓
●何か質問はありますか?
ミー・アライ・ターム・マイ?
※「ถามターム」は質問する、という意味
という風に、パターンを覚えておくと、
必要なときに、ぱっと口をついて出てくるようになります。
誰かいますか?
その他、普段の生活でよく使うフレーズとしては…
人の家に行って、「誰かいますか?」と尋ねたいとき。
このときも、
ミー・カイ・ユゥ
↓
誰かいますか
ミー・カイ・ユゥ・マイ?
と、なります。
欲しい人は手をあげて
また、例えば、
日本語だと、「欲しい人は手を挙げてください」という言い方をします。
しかしここで、「欲しい人」という言葉を直訳しようとしてしまうと、
非常にまわりくどいタイ語になります。
この場合も、
欲しい人
↓
誰が欲しいの?
↓
誰か欲しい人
というふうに、まず意訳をします。
その上で、
「誰か欲しい人」は、
ใครอยากได้
カイ・ヤークダイ
と、なります。
全体としては、
ใครอยากได้ ยกมือขึ้น
カイ・ヤークダイ・ヨックムークン
と、なります。
何か食べに行こう
「何か食べに行こう」は、タイ語で
パイハー・アライ・キン・マイ?
と言います。
「パイハー」で、「探しに行く」という意味です。
そして、この時も、
「アライ・キン(食べる何か)」というふうに置き換えて、
パイハー・アライ・キン・マイ?
何か食べるものを買いに行かないか
と、なります。
まとめ
いかがでしたか。
今回は、「何か・誰か」などの不定代名詞の入った文章を、タイ語に訳す時のコツについて、ご紹介してきました。
英語の「What」や「Something」のように、別々の語を使い分ける必要がありませんから、非常にシンプルですよね。
今回ご紹介したフレーズを、おさらいしておきましょう。
ミー・カイ・ユゥ・マイ?
「何か質問ありますか」
ミー・アライ・ターム・マイ?
「欲しい人は手を挙げてください」
カイ・ヤークダイ・ヨックムークン
「何か食べ物を買いにいきましょう」
パイハー・アライ・キン・マイ?
これらのフレーズは、タイ語の日常生活では非常によく使います。
決まり文句として、文章ごと丸暗記しておくようにしましょう。
(つづく)