前回の記事で、【日本人の父親がハーフの子供をバイリンガルに育てるための心構え】について、ご紹介しました。
今回からはいよいよ、具体的な方法について、ご紹介していきます。
誰にでも、自宅ですぐに実践できて、確実にバイリンガル教育に効果のある方法です。
日本語の命令文を多用する
語学の指導において、
命令文というのは非常に重要です。
小さな子供に日本語を覚えさせるには、
日本語で命令して、その通りに行動させる
というやり方が、
一番効果的なんです。
なぜこれが効果的かというと、
命令文は、答えを必要としないからです。
小さな子に文章を答えさせる練習は、あまり意味がない
例えば、
「水を飲みますか?」
という疑問文があるとします。
この疑問文に対しては、
飲むか飲まないかを、
言葉で答えなくてはなりません。
日本語の単語や文章を
すでに多く知っている子供であれば、
「日本語で尋ねて日本語で答えさせる」
という方法ももちろん効果的ですが、
いわばこれは、レベル2です。
●答える為の単語を知らない、
●あるいは答え方を知らない、
というような小さな子供の場合、
疑問文に文章で答えさせる、
という練習方法は、
あまり意味がありません。
「お父さんがせっかく日本語で子どもに尋ねているのに、子供は全然日本語で答えてくれない」
と、考えたことはありませんか?
これはつまり、
子供が日本語での答え方を知らないからなんです。
先ほどもお話ししたように、
「答えさせる」というのはいわばレベル2ですから、
まずはレベル1、
「聞かせる」という練習を、
しっかりしておかなければいけないんです。
命令文に対して、子供は行動するだけでいい
ですので、
さっきの「水」の例で言えば、
「水を飲みますか」という疑問文ではなく、
「水を持って来て」
と、子供に日本語で命令をすればいいんです。
これなら日本語の文章を答えなくても、
とにかく水を持って来さえすればいいわけですから、
日本語がまだ達者ではない子供にとっては、
ハードルが1つ下がることになります。
たとえ子供が聞き取れなくても、タイ語で言い直してはいけない
もちろん初めは、
子供はまだ「水」という単語を
知らないかもしれません。
でも、そこで、
間違っても「น้ำナーム」と、
タイ語で言い直してはいけません。
せっかく子供が
「水」という日本語を覚えようとしているのに、
親がタイ語で言い直してしまっては、
何にもなりません。
せっかくの子供の努力の芽を、
親が自ら摘んでしまうことになります。
あなたも、
「タイ語で言い直す」ということをした経験が
あるのではないでしょうか。
「あ~、やっぱり分からへんかぁ、
ほな、タイ語で言い直したるわ」
と。
私の見る限り、
ハーフの子供を持つ日本人のお父さんのほとんどが、
これをしてしまっています。
これでは子供は、
日本語を覚えることができません。
ですので、
「一度子供に言った命令文は、
タイ語で言い直さない」
と、親の側でも、
ルールを決めておく必要があります。
紙に書いて、
冷蔵庫の壁に貼っておくのもいいかもしれません。
- お水を持ってきて
- お箸をとって
- お絵本とって
…などなどです。
これらの命令文を、
「必ず日本語で言う。タイ語では言い直さない。」
と決めておけば、
子供も必ず、それに応じてくれます。
「親に褒められたい」と願わない子供はいない
「親に褒められたい」
と、願わない子供はいません。
ですから、
「水を持ってきて」
と、親に言われた子供は、
「あれ? 『ミズ』ってなんだったっけ??」
と、自分の頭で考えながら、
何とかして親の要求を叶えようとします。
そして結果的に、
「水」という単語を覚えるわけです。
子供にしてみれば、
- 「いつの間にか日本語を覚えられる」
- 「大好きなお父さんの願いを叶えることができる」
というメリットがあります。
また、あなたにとっては、
- 子供が自分の用事を手伝ってくれる
わけですから、
まさに一石二鳥、三鳥だといえます。
まとめ
いかがでしたか。
今回は、
父親が日本人の子供をバイリンガルに育てるための、
具体的な方法として、
- 日本語の命令文を多用する
という方法を、ご紹介しました。
これが最大に効果があると言える理由は、
- 子供が日本語で答えなくてもいい、
という点です。
子供がまったく日本語を知らない段階で、
日本語での受け答えを強要するのは、
子供にとってはあまりにも、
ハードルが高くなってしまいます。
ですのでまずは、
お子さんに簡単な命令文を言ってみてください。
- お水を持ってきて
- お箸をとって
- お絵本とって
などです。
これらの命令文に対して
子供が戸惑うのは、最初の1回だけです。
2回目からは、
その命令文がどういう意味かを
子供は把握できます。
そして、
お父さんの命令に対して、
ちゃんと行動できるようになります。
ですので、
- 子供が聞き取れなくてもタイ語で言い直さない
と、決めておくようにしましょう。
子供への命令文は、
最初は5個ぐらいから始めて、
徐々に10、20と増やしていけば、
子供のヒアリング能力は確実に上がっていきます。
今日からでもすぐに自宅で実践できる、
手軽な方法ですから、
ぜひ、
ご家庭でも試してみてくださいね!
小さな子供に日本語を教えるには、日本語の命令文を多く聞かせるのが、最も効果がある。
次回は、「子供に日本語で日課を言う」という方法について、ご紹介していきます。
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