タイ語では、「寝る」と「眠る」の2つは、別々の単語を用いて表現します。
そのため、タイで生活をする際は、
「寝る」と「眠る」の違いや使い分けを、よく知っておく必要があります。
タイ語で「寝る」はなんという?
まず、「寝る」の方から見ていきましょう。
タイ語で、「寝る」は
นอนノォーン
と言います。
「寝る」とはつまり、
「体を横にする」ということで、
その後熟睡するかどうかというのはまた別問題、
ということになります。
นอนノォーン
↓音声はこちらから
タイ語で「眠る」はなんという?
次は、「眠る」です。
「眠る」は、タイ語で
หลับラップ
と言います。
先程のนอนノォーンが、
「体を横にすることを指し、その後熟睡するかどうかは問わない」
という意味だったのに対し、
หลับラップというのはこの反対で、
「睡眠することを指し、座ってようと横になっていようと、体勢は問わない」
ということになります。
หลับラップ
↓音声はこちらから
■「可能」の表現
タイ語で「できる」という可能表す助動詞は、
ได้ダイと言い、これを動詞の後ろにつけます。
ได้ダイも、タイ生活での最頻出語の1つですので、ぜひ覚えておきましょう。
今回ご紹介している、
นอนノォーンとหลับラップの後ろに、ได้ダイを続けると、それぞれ、
●นอนノォーンได้ダイ
●หลับラップได้ダイ
となります。
これで、「可能」のニュアンスを表すわけです。
意味はそれぞれ、
●นอนได้ノォーン・ダイ
(寝ることが可能)↓音声はこちらから
・十分なスペースがあるので、横になることができる。
・湿度が高すぎないので、快適に横になることができる。
・周囲に猛獣や危険人物がいないので、安心して横になることができる。
●หลับได้ラップ・ダイ
(眠ることが可能)↓音声はこちらから
・騒音が酷くないので、眠りにつくことができる。
(タイ語で【騒音/うるさい】を何と言うかの記事はこちら)
・ダニや南京虫がいないので、眠りにつくことができる。
・罪悪感による両親の呵責がおさまったので、眠りにつくことができる。
…のようなニュアンスで使います。
「眠れない」はタイ語でなんという?
さて、今回のテーマで最も重要なフレーズは、
「眠れないっ!」
という表現です。
前項で、可能を表す「~ได้ダイ」というフレーズをご紹介しましたが、
「眠れない!」
というときは、専用で使うお決まりのフレーズがあります。
タイ語で「眠れない!」は、
นอนノォーンไม่マイหลับラップ
と言います。
前項でご紹介したได้ダイは使わずに、
「ノォーン・マイ・ラップ」
と言って、これで「眠れない」という意味を表すわけです。
「นอนไม่หลับノォーン・マイ・ラップ」を直訳すると、
นอนノォーン 寝る
ไม่マイ ~ない(否定)
หลับラップ 眠る
で、つなげると、
「寝るが眠れない」
ということになります。
「寝るが眠れない」という用法は、日本語にはないので、若干違和感を感じるかもしれませんが、
中国語をやタイ語をはじめとする、周辺の言語では、こういう「寝るが眠れない」という表現をすることがあります。
タイ人との日常会話では、この
ノォーン・マイ・ラップ
(寝るが眠れない)
という表現のほうが、より好んで使われます。
なぜこういう言い方をするのか
ノォーン・マイ・ラップ
(寝るが眠れない)
この用法は、一言で言えば、「動作」と「動作の結果」を時系列でそのまま並べる、ということです。
●นอนノォーン・หลับラップ
寝る→そして眠れる●นอนノォーン・ไม่マイหลับラップ
寝る→しかし眠れない
という用法です。
詳しい文法的な解説は、
【タイ語で動作と結果を並べる用法】の記事でもご紹介していますので、ここでは割愛しますが、
とりあえず今回は、タイ生活の超重要フレーズとして、
●นอนหลับ
ノォーン・ラップ
(眠れる)↓音声はこちらから
●นอนไม่หลับ
ノォーン・マイ・ラップ
(眠れない)↓音声はこちらから
この2つを、しっかり覚えておくようにしましょう。
ちなみに重要度は…
ノォーン・マイ・ラップ(眠れない)の方がはるかに高いです。
なぜなら、
「ぼくはよく眠れているよ!」
と声に出して言うことは、普通はあり得ませんよね。でも、
「ぼくは眠れないんだ!」
と言わなければならないシチュエーションは、おそらく頻繁にあるからです。
まとめ
いかがでしたか。
今回は、「寝る」と「眠る」に関するタイ語のフレーズを、ご紹介してきました。
最後にもう一度、今回の表現を聞き流してみましょう。
↓音声フル
●นอนノォーン
(寝る)●หลับラップ
(眠る)●นอนノォーンได้ダイ
(寝られる)●หลับラップได้ダイ
(眠る事が可能)●นอนノォーンหลับラップ
(眠れる)●นอนノォーンไม่マイหลับラップ
(眠れない)
「寝ると眠るが別の単語だなんて、ややこしい!」
と、思うかもしれませんが、これは逆に、日本語が分かりやすすぎるのです。
平仮名で書いてみるとよくわかりますが、
「ねる/ねむる」
と、たった1文字しか違いませんから、耳で聞いて、「似たような言葉だ」ということがすぐに分かります。
でも、ほとんどの外国語ではそうではなく、
「寝る」と「眠る」とは、全く別の単語で表現する、ということなんです。
それではまた。
●タイ語では「寝る」と「眠る」は別の単語。●タイ語などのアジアの言葉で「眠れない」と言いたいときは、「寝るが眠れない」という言い回しをする。