タイ文字には、「読まないH(ห)」というものがあります。
この「読まないH(ห)」の役割は、
一言で言うと、
「声調のルールを変えること」。
今回は、タイ文字の「読まないH(ห)」の要点を、ざっくり3分ほどで解説してみたいと思います。
語学の勉強は「積み上げ式」
しかし実は、
初心者にとってこのテーマは、、
「かなり高いハードル」です。
なぜ、ハードルが高いかと言うと、、
そもそも語学というものは、
「積み上げ式」なので、
「その項目だけ読めばいい」
というようなものではないからです。
このことを、別の例で考えてみましょう。
算数の「速さの計算」のようなもの
例えば、
小学生に「速さの計算、速さ×時間=距離」を教えるとします。
速さの計算をするには、その前段階として、
「2ケタの掛け算・割り算」
を知っていなくてはいけませんよね。
それに、、
もっと前の段階で、そもそも「九九」がきちんと言えていないと、速さの計算なんてできません。
語学にも、これと同じことが言えます。
タイ文字学習は積み上げ式
今回の「読まないH(ห)」の読み方を解説するにしても、、
と、言葉で解説をすること自体は、簡単です。
でも、そもそも、、
●タイ語の声調は全部でいくつあるのか
●タイ語の第1声から第5声までの声調は、
どのようになっているのか
まずは、このへんの項目を、基本事項として押さえておかないといけないんです。
「読まないH(ห)があると、声調のルールが変わります」
という言葉だけを言われても、
「そもそも、タイ語の声調のルールはどうなっているのか」を知っていないと、
声調のルールが変わる、
ということが分からないからです。
これについては、当サイトで開講しているオンライン講座、【タイ文字講座】のほうで、
タイ文字の読み方を基礎から詳しく解説していますので、そちらを参照してください。
この記事では、ざっくりと、
さわりだけをお話しします。
「読まないH(ห)」の読み方
まず、「読まないH(ห)」は、
「なまやらわ」の文字の頭に付きます。
「なまやらわ」というのは、
僕の造語です。
「な・ま・や・ら・わ」とは、
n や m 、 y や w などのような、
のどや鼻から「するっ」と抜けるように出す音を指します。
つまり、「か」とか「た」などのような、舌や歯に引っ掛からない(摩擦がない)音のことです。
そして、
タイ語では、この「なまやらわ」の文字は、使える声調が「3つ」しかありません。
「なまやらわ」の声調は3つだけ
たとえば、น(n) の文字。
น่า nâa
น้า náa
この文字は、上に記号を付けて、「naa nâa náa」と、3通りの声調で読むことができます。
しかし、タイ語の声調は、全部で「5つ」ですので、
น่า nâa
น้า náa
これだけでは、5つある声調のうちの、「3つしか」カバーできていない、ということになります。
5つの声調のうち、3つしか表せないので、残りの2つの声調が抜け落ちています。
そこで、残り2つの声調を表すための方法が、
…という方法です。
「なまやらわ」の文字の頭に、「読まないH(ห)」を付けると、読み方は次のようになります。
หน่า nàa
หน้า nâa
先ほどとは、音が変わっているのがお分かりいただけたでしょうか。
分かりやすいように、並べて書いてみましょう。
น่า nâa / หน่า nàa
น้า náa / หน้า nâa
↑
見ての通り、これで、5つの声調をすべてカバーできたことになります。
(nâaがカブっているので、トータル5種類)
つまり、タイ語には、声調が「5つ」あるのですが、
น だけでは、「3つ」の声調しかカバーすることができません。
そこで、頭に「読まないH(ห)」を付けることで、
น だけでは発音できなかった残り2つの声調をカバーしている、ということです。
これがつまり、冒頭にお話しした、
ということの意味です。
JRと私鉄でカバーし合うようなもの
「読まないH(ห)を付けると、声調のルールが変わる」
これは、鉄道で例えると、、
「JRと私鉄とで、行ける範囲をカバーしあっているようなもの」
…と、考えると、
分かりやすいかもしれません。
私鉄(หน)に乗り換えて、目的地まで行く
それと同じで、タイ文字は「なまやらわ」の文字だけでは、3つの声調(=JR沿線)しか表すことができないので、
読まないH(ห)を付けて、残り2つの声調(=私鉄沿線)をカバーしている、というわけです。
こうすることで、「なまやらわ」の文字が、5つの声調をすべて表す事ができるようになります。
読まないH(ห)は「なまやらわ」に付く
そして、このルールは、น の文字だけではなく、
他の「なまやらわ」の文字にも、同じように当てはまります。
ま ม
や ย ญ
ら ร ล
わ ว
↑
これらはいずれも、「なまやらわ」の文字なので、今回のルールが適用されます。
ม (m) の文字
では、次は、ม (m) の文字で考えてみましょう。
これも、先ほどの น (n) と考え方は全く同じです。
「なまやらわ」の文字は、
ม่า mâa
ม้า máa
↑
この3つの声調しか表すことができません。
そこで、頭に「読まないH(ห)」を付けることで、
ม่า mâa / หม่า màa
ม้า máa / หม้า mâa
これにより、5つの声調すべてを表すことができるようになる、というわけです。
まずは単語を覚えよう
はい、今回の記事は、以上になります。
かなりややこしいテーマなので、タイ文字のルールについては、あまり深く考え過ぎないようにしましょう。
とりあえず、初めのうちは、
…という風に覚えておけば良いと思います。
それよりも、初心者のうちは、まず単語を増やすことが先決です。
「読まないH(ห)」の付いた単語を覚えていきながら、
「あぁー、そういうことか」
と、少しずつ、理解していくようにしましょう!